私は白くて冷たいベットに仰向けに寝ていた。
本当に寝ているわけではなく、ただ天井を見つめぼんやり時間が過ぎるのを待つだけ。他に何もする事はない、いや、したくても出来ないのだ。
だって私の両手足と腰は、ベルトによってベットに拘束されているから。トイレにもいけないのでオムツをはかされて、まるで強制的に赤ちゃんになったようだった。
部屋のドアがノックされ誰かが入ってくる音が聞こえるが、頭と目を動かすのが面倒なのでそのまま、天井から視線は外さない。
「川村和香子さん、調子はどうですか?」平坦な男性の声だ。
調子も何も、ただ動けずベットに寝ているだけである。口にするのもめんど臭くなり、問いかけには沈黙で返答した。
「…川村さん、自分がどうしてここにいるのか、分かりますか?」
どうして、どうして私がここにいて、こんな事になってしまったのか。分かっている、だってあいつには生まれた時から付きまとわれているのだから。
頭と目を動かし、声のした方を見る。ベット近くに白衣の男性が椅子に座っていて、傍らには白衣の女性が立っていた。その人達に向かって重い口を動かす。ずっと口を閉じたままだったので、乾燥して唇同士がくっついて開く時に皮が剥け、血が滲んだ。
「ウンコです」
その単語を発した瞬間、白衣の二人が顔をこわばらせた。それでも私は続ける。
「こうなったのは全部あいつのせい、私は……」
「私の人生はウンコに支配されいるんです」