翌日。
「おはよう、光希くん。よく眠れたかい?」
今羽に叩き起こされた。桜はというと、朝食の準備をしているようだ。
「おかげさまで」
「じゃあ、佐竹家に帰れるかな。一人で大丈夫?」
「多分」
曖昧に頷くと、今羽は「じゃあ、またね」と僕を神社の外へ半ば強引に追い出した。
……帰りたくない。どんな顔して帰れば良いのだろう。皆に心配かけちゃったかな。そんなことを考えながら歩いていると、こちらに走ってくる人影が見えた。
「光希様、こちらでしたか。朝から光希様がいないって家中大騒ぎで」
紬だった。泣きそうな紬を見ていると、何だかとても悪いことをした気分になる。
「ごめん、夜はどうかしてた。一緒に帰ろう」
「はい!」
ゆっくりで良いんだ。今羽の神力が戻るまで、それまでの間なのだから。
それまで、佐竹家にお世話になろう。