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第2話

 家から出るのもなんだかな、と思い自分の部屋で考え事をする。これも、神様が与えた試練とか? いや、そんなことはない。そんなこと、あってはならない。神が存在していたとして、何故僕にそんな試練を与えるのか。全く理解が出来ない。最も、理解できないから『神』や『超常現象』であるのだろうけれど。

「光希様、失礼します」

「紬……」

 声に反応して襖を開けると、いつになく改まった格好の紬が居た。

「光希様は、秋奈様の様子はもう見に行かれないのですか?」

「ああ、うん。ちょっとね」

 先ほど、晃生と間違われたことがフラッシュバックする。僕は本当にこの時代に居ても良いのか、そんな思いが頭に浮かぶから。

「もうすぐ産まれそうですよ、晃生様も急遽お休みになられて付き添われていらっしゃいますし……」

「僕はいいよ」

 少し語気が強くなってしまった。まあ、これで紬も諦めてくれるだろう。

「いえ、良くありません。晃生様にも、光希のことは頼むと言いつけられております。光希様は、人の命が繋がる瞬間を見るべきだと、晃生様も仰られていました。行きましょう光希様、秋奈様のところへ」

 紬は僕の手を取り、奥へと駆け出した。


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