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第6話

 風呂からあがると、何やら騒がしい。

「光治さんのために部屋綺麗にしたのに! もうこんなに散らかして……」

「俺はこれくらい荒れてた方が気持ち落ち着くっぺ!」

 風花と光治の言い合いみたいだ。これだとまるで、夫婦喧嘩みたいに見える。

「悪いな光希、よくあることなんだ。うるさいだろ?」

「いや……僕は別に……」

 確かにうるさいが、現代で僕の兄たちの言い合いに慣れているからか嫌な感情は湧き上がらなかった。むしろ、安心する。

「そうか。それならいいんだけどな……。いつもこうだから、嫌になっちまうよ」

「確かに、毎日だと大変そうだね……」

 僕の兄たちも毎日そんな感じであるため、嫌にはならない。そのことは伝えないけれど。

「さーて、喧嘩してる奴らは置いておいて寝る準備をするか。布団も敷き終わった頃だろうしな」

 晃生は、「おやすみ」と一言言い残すと、自分の部屋に入っていった。僕も、特にやることがないので晃生に倣った。


 今日は情報量の多い一日だった。今羽の言うことは怪しいが、今はそれだけが頼りだ。それにしても、いつまでこの時代に居なければいけないのだろう。家族は今頃どうしてるのかな……。捜索願とか、出されてたりして。洒落にならないホームシックから逃げるため、目をぎゅっと瞑った。


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