ひじり
ミステリー推理・本格
2024年12月09日
公開日
31,627文字
連載中
目が覚めた時、僕は記憶を失っていた。
何をすればよいのか分からず途方に暮れていると、一人の少年が僕の許を訪ねた。
少年は僕を「他人の才能を開花させる」才能の持ち主だと言った。
話によると、どうやら僕は記憶喪失になる前、五人の少女の才能を開花させたらしい。
少女達は僕を敬愛しているので、きっと力になってくれるだろうと告げた。
御剣由良理。
時津佐屋。
手妻葵。
琴倉千歳。
天馬羅衣音。
僕は失った記憶を取り戻す為、少女達に会いに行くことを決めた。
嘘吐きな人間が僕を騙そうとしているとも知らずに……。
【プロローグ】
キミはすぐ理解するはずだ。
僕が嘘をつき、キミを騙していたことを。
だけど誤解しないでほしい。ウソツキニンゲンは僕じゃない。
キミはまだ気づいていないけど、僕とキミは彼女に利用されているだけなんだ。彼女の罠に嵌ってしまった時点で、真実を話すことは不可能であることを認識してしまったのだからね。それこそが、彼女が持つ稀有な才能の一つなんだ。
記憶を取り戻すことは容易ではないだろう。
でも、僕とキミが入れ替わる前に気づかなければ全てが水の泡だ。
もし、キミが騙されていることに気づいたら、そのときは――…