『デュエルフィールドシステム起動シマス』
先生からデュエルフィールドの起動が合図と聞かされていたが突如としてその機械音声が鳴り響き、俺の周囲にレーザースキャンのような装置が現れ、俺の全身を読み込んだ後にホログラムいや、本当に俺の服装が変化した
流石にリボルビング式のカードケースまでは変化していなかったがコレが元々制服だったのがよく分かる
渡された時に特殊な機能が付与されているから出来るだけ傷付けないようにとは聞かされていたがこれのことか……本気で何で出来ているんだこの制服
控え室を出た俺はそのままコロッセオ型大型デュエルフィールドへと歩みを進めていく
にしてもデュエルフィールド内部でのダメージはある程度フィードバックされてデュエルが終わった後も衝撃が残るものだが現実の肉体となるとどうなんだ?
若干嫌な予感がするが進むしか無いだろう
コロッセオに出ると俺の対面側には同じく若干戸惑っている様子の金のアクセサリー多めのスーツ姿の男子生徒がいた
「外は流石に見えないか……まぁ余計な事を考えなくて済むしいつもの授業と同じで集中しやすいからありがたいんだが」
「そっちは随分と余裕そうだね」
「いや、これでもお前と同じでそれなりに戸惑ってるぞ?
ただこれから行われる勝負にそんなのは関係ないからな。
それに深く考えるとこの学園はきりが無い……」
「卑怯者と名高い君と同意見なのは不服だけど確かにそうだね」
ホントにこの学園はツッコミ所多すぎてきりが無いからな……
俺はそんなやり取りをしながらも手ではフィクスシャッフルを行う
完全に見ずにやってはいるが基本的にこのシャッフル方法はこのくらい出来ないと成功率が安定しない
相手のシャッフルが終わるのを待ち、開始の合図を待つ
『それでは開始してくれ』
「「デュエル!!」」
俺たちが叫ぶと同時にいつも通り巨大な天秤が目の前に現れる
それにしてもデュエルフィールドを起動した時に吸い込まれる意識体で見るのと実際に見るのじゃ迫力が全然違うな……
傾いたのは相手側……今回は後攻になったか
出来れば先攻のがありがたかったがここは仕方ない
デッキ置き場にセットした自分のデッキから5枚が浮遊して手札として前に並ぶ
このカードが浮遊しているのもどういう理屈なのやら……
「僕のターン、MPをアビリティポイントへ変換してターンエンド」
「俺のターン、《プチゴーレム》を前列中央に召喚してターンエンド」
『ーーーッ!!』
《プチゴーレム》0/2《挑発》
今回のデッキのコンセプトは2つ、そのうちの一つは時間稼ぎとなっているので今回のデッキにはそれなりに多くの挑発持ちを入れている
そしてもう一つのコンセプトはユニークレアカードに関わるコンセプトだ
相手はこっちの出したユニットを見て少し考え込む様子だ。
アレを見る限り相手の動きを見て出すカードを決めるタイプっぽいな
そうなると俺のように決まったパターンを持つわけじゃない分若干厄介だな
まぁ読み合いってのはそういうのが醍醐味なんだがな
「……僕のターン、コストとしてMPを2消費して前列左側に《メダリオン君》を召喚する。
《メダリオン君》の召喚時効果発動、僕の手札に《メダリオン》を1枚追加する」
『ハハッ!!』
《メダリオン君》2/3
ヲイバカそのセリフはやめろ!?
大きな顔面の付いた金色のメダルの身体に白い手袋と靴を着けた黒い手足を生やした《メダリオン君》が手のひらに金色のメダルを取り出して相手のプレイヤーへと投げるとメダルがカードとなって手札に加わる
あのメダルが《メダリオン》って訳か
「ターンエンド。」
「俺のターン、2コストを消費して《コピーゴーレム》を前列左側に召喚してターンエンド。」
『ーー!』
《コピーゴーレム》1/2
現れた《コピーゴーレム》はターンエンドを宣言すると蠢き始め、前後半分ずつになる形で真っ二つになる
2つに分かれた《コピーゴーレム》は元の形へと戻り、2枚目の《コピーゴーレム》が後列左側に現れた
「《コピーゴーレム》は召喚時したターンが終了した際に自身と全く同じ能力を持った《コピーゴーレム》を前後に出す能力がある」
『ーー!』
《コピーゴーレム》2/1
「地味に面倒なカードだね。
でもそのカードは序盤に出すべきカードではないんじゃないか?」
「本来ならな、だが俺のデッキコンセプトは少し特殊でな。
今回のデッキに限ってはコイツを出すタイミング自体はそれなりにどうでもいい」
今回のコンセプトのもう一つの目的を達成するにはひたすらユニットを出す必要がある。
ユニットの数そのものが重要な為に特に強くする理由は無く、寧ろ下手に強くしたほうが後々こちらにとっては都合が悪かったりする
「……?よく分からないが警戒しておくに越したことは無いか……。
僕のターン、コストとしてMPを3消費して《イカサマネー君》を後列右側に召喚する。」
『イカがカネ?』
《イカサマネー君》3/2
何故かスーツを着て札束を持っている巨大なイカが現れる。
ダジャレか何かか?
「《イカサマネー君》の召喚時効果発動、次の《ギャンブル》効果発動時に僕が効果を選べる《イカサマ》を付与する」
『イカンイカン、ギャンブルとはこういうものではないカネ?』
《イカサマネー君》が札束を叩くとそこから光る何かが現れて相手のプレイヤーの周囲を回り始める
基本的なギャンブラーの立ち回りはイカサマありきの動きが多い。
そうでなければ効果がランダムに選ばれるため狙った効果を出しにくく、物によっては自分に不利な効果を持った《ギャンブル》もある為にリスクが大きいからだ
そうなるとそろそろ動いてきそうだな
「《メダリオン君》で《プチゴーレム》に攻撃してターンエンド。」
『そーれ゛!』
『ーーッ!?』
《プチゴーレム》0/2→死亡
《メダリオン君》が投げた金のメダルが《プチゴーレム》へと直撃してそのまま貫通する
というか投げる瞬間に腕が一気に膨張してすげぇ表情になっていたがマスコットとして見るとしたらアレは色々とどうなんだろうか?
「俺のターン、MPを3消費して前列中央に《ゴーレムライダー》を召喚」
『ヒヒーンッ!!』
《ゴーレムライダー》2/3
馬型のゴーレムに《プチゴーレム》が乗ったユニットが現れ馬型ゴーレムが電子音声ではあるが馬の鳴き声のような声を出している
「《コピーゴーレム》2体でプレイヤーにダイレクトアタックをしてターンエンド」
「うぐっ!?あがっ!?」
《金田 カケル》HP30→26
多分物理的な衝撃だけだと思いたいがサイズがちっちゃいとは言え立派なゴーレム……つまりは土塊や石なんかで出来た拳による一撃だ
普通に痛そうだ
「僕のターン、コストとしてMPを4消費して後列中央に《ミミックスロット》を召喚する」
『ゲババババ!』
《ミミックスロット》3/3
後列中央の魔法陣からスロット部分が目となっており、コイン排出口と思われる場所が大きく裂けて大量の牙が生えているスロットの化け物のようなユニットが現れた
「《メダリオン》を1枚消費して《ミミックスロット》の《ギャンブル》発動。
《イカサマ》により僕は"《メダリオン》を3枚獲得する"効果を得る」
『ゲーバゲバゲバゲバ!』
金田の手札から《メダリオン》が実体化して《ミミックスロット》に飲み込まれるとスロットのような目玉がぐるぐると回転し始め、中央の部分が3という字で揃って《ミミックスロット》が大笑いしながら3枚の《メダリオン》を吐き出した
なんか地味に嫌だなその演出
「《メダリオン君》と《イカサマネー君》でプレイヤーにダイレクトアタックしてターンエンド」
『もう一枚プレゼントだよ!それ゛っ゛!』
『コイツはイカがカネ?』
「あがっ!?ぐっ!?」
なんだこれ!?衝撃がいつも感じる物よりも強い!?
いや、それだけじゃない。
明らかに肉体へのダメージめ軽度だが入っている
恐らく痛みが走る程度に設定されているのだろうが普通に危険ではなかろうかこのシステム……
「俺のターン、後列左側にMPを4消費して《ビルダーゴーレム》を召喚する。」
『ゴゴゴゴゴ……!』
《ビルダーゴーレム》2/4
両手に様々な工具を持ったゴーレムが現れると地面を掘り始め、その土から何かを作り始める
このユニットさえ守りきれればこっちとしては割と楽で済むのでここから本格的な時間稼ぎの開始だ
「《コピーゴーレム》2体で《メダリオン君》を、《ゴーレムライダー》で《イカサマネー》君を攻撃。」
『マネェェェェェェエエエ!?!?』
『イカサマァァァアアアア!?!?』
《コピーゴーレム》2/1→死亡
《コピーゴーレム》2/1→死亡
《ゴーレムライダー》2/3→死亡
《メダリオン君》2/3→死亡
《イカサマネー君》3/2→死亡
「《ゴーレムライダー》の死亡時効果発動、《プチゴーレム》を同じマスに召喚する」
《プチゴーレム》0/2《挑発》
《ゴーレムライダー》として乗っていた馬型のゴーレムが消滅してはいたが上に乗っていた《プチゴーレム》が消滅せずに残っていた為そのまま落下して前列中央へと転がってきた
「ターンエンドして《ビルダーゴーレム》の効果発動。
ターン終了時にこのユニットは空いているマスに《プチゴーレム》を召喚する」
『チーン……!』
《プチゴーレム》0/2《挑発》
なぜオーブンで焼けたような音がというツッコミは無しにするが前列右側に《ビルダーゴーレム》から作られた《プチゴーレム》が移動する
これで2体の《挑発》持ちユニットが前に出ている為にそう簡単に突破してプレイヤーへのダイレクトアタックをすることは出来なくなる
さて、気付いてくれるなよ?