目次
ブックマーク
応援する
いいね!
コメント
シェア
通報

第15話 盗賊らしい戦い方

「逃げずに来たみたいだな盗賊野郎……!

それにさっきの雑魚も一緒とは丁度いい、そこの下等職がやられる様をじっくり見てるんだな!」

「御託は良い、さっさと始めるぞ。

あいにくとお前には対して興味はないんだ。」

「テメェ!」


俺はデュエルフィールドにデッキをセットし、読み込ませる


今回用意したデッキは俺がいくつか作った中でもネタ抜きで作った完全なガチ構成のデッキの一つだ。

とはいえ調整の余地はまたある為今回の戦いはその調整する箇所を絞るための意味合いもある


まぁ負けるつもりなど微塵も無いため本気で叩き潰すがな


俺の意識は暗転してフィールドへと移っていく


門をくぐりフィールドへと出ると財前とやらも出てきた


姿は軽装の鎧姿に片手剣と盾……職業は『剣士』のようだ


戦士と似ているが武器をメインに戦うタイプであり、どの職業アビリティも武器を用いるタイプの効果となっている


ある意味では以前に試合映像で見た会長の勇者にも近いが完全に武器だよりな為、こっちの方が依存度は高い


こちらとの相性は悪くなさそうだ


「「デュエル!」」


試合開始の合図となる言葉をお互いに叫び、天秤を出現させる


グラグラと揺れる天秤はこちら側に傾く。

今回は俺が先攻のようだ


手元に来たデッキを当然のようにフィクスシャッフルで望み通りのカードの配置に入れ替え、台にセットする


台にセットされた山札からカードが浮かび上がり、俺の目の前に来る


問題なく混ぜられたようだ


「俺のターン、アクションカード《盗む》を使用。

相手プレイヤーのデッキからランダムな1枚を奪う」


相手のデッキの中腹付近からカードが引き抜かれ俺の方へと浮遊してくる


引いてきたのは《守護者の剣》、4コストの攻撃力2、耐久2の武器で反撃で受けるダメージを2減らす効果がある


それなりに使いやすい武器だな


「ターンエンド」

「こそ泥風情が……!俺様のターン、MPをアビリティポイントに変換してターンエンド」


まぁ序盤から動くデッキは少ないからセオリー通りと言えばセオリー通りか


「俺のターン、《スラム街のどろぼう》を前列右側に召喚。

召喚時効果で相手のデッキからランダムな1枚を奪う」

『クケケッ!チョロいもんだぜ!』


《スラム街のどろぼう》1/1


《スラム街のどろぼう》が在前の前を通り過ぎてデッキからカードを奪っていく


引いてきたのは3コスト1/2の《戦う鍛冶師》か…!能力は低いが召喚時効果で自身の装備している武器の攻撃力と耐久を伸ばす効果がある


「ターンエンドだ」

「俺様のターン!《兵士長の剣》を装備!」


《兵士長の剣》1/2


「《兵士長の剣》の《アビリティブースト》発動、俺のアビリティポイントを3増加させる」


また見事にレア度の高いカードばかりだが運用自体は悪くないな


「俺様自身で《スラム街のどろぼう》に攻撃!

死ねやオラ!」

『がっ!?んのやろう!?』


《スラム街のどろぼう》1/1→死亡


《財前 益男》HP30→29

《兵士長の剣》1/2→1/1


「ターンエンド」


そろそろユニットを展開しないと武器と合わせて盤面有利を取られ続けそうだな


本当はもう少しカードを奪っておきたかったが仕方無い


「俺のターン、コストを3消費し前列中央に《シールドゴーレム》を召喚してターンエンド」

『ォォォォォオオオオ!!!』


《シールドゴーレム》1/4《挑発》


《シールドゴーレム》は各職業が共通して使えるカードの1種で3コストで使える《挑発》持ちのカードの為それなりに使い勝手が良いカードの一つだ


攻撃力こそ1と低いものの3コストの序盤で使えるカードとしては4とそれなりに高い耐久力の為簡単には落としにくい時間稼ぎ用のカードでもある


「面倒なカードを……俺様のターン!

コストを3消費して前列中央に《強欲な武器商人》を召喚

召喚時効果でデッキから1枚ドローしてデッキ内のランダムな武器カードも1枚ドローする!」

『ほれ、受け取れい』


《強欲な武器商人》2/3


ドロー加速型のユニットカード……レアカード中のレアカードだな


確かこのカードはオークションとかでも凄まじい値段で売られていたな


「《シールドゴーレム》に俺様自身で攻撃!

オラッ!」

『…………!』

「グァッ!?」


《シールドゴーレム》1/4→1/3


《財前 益男》HP29→28

《兵士長の剣》1/1→破壊


財前は《シールドゴーレム》へと斬りつけるが《シールドゴーレム》は両腕に直接繋がっている大型のシールドを構えて弾き、《兵士長の剣》をへし折る。

そして浮いている財前をそのまま両手の盾で殴り飛ばした


「ターンエンド」

「俺のターン、コストを4支払いフィールドカード《盗賊団のアジト》を後列中央に設置する」


《盗賊団のアジト》耐久値5


フィールドカード、これはユニットや罠とはまた別のマスに設置するカードであり、設置している間はそのマスにユニットを設置する事が出来ないというデメリットこそあるが耐久値が無くなるまでの間かなり強力な効果を発揮したりする効果を持つ


「《盗賊団のアジト》の設置時効果発動、相手のデッキから2枚のランダムなカードを奪う。

更にこのフィールドが存在している間プレイヤーのデッキに本来入っていないカードが手札にある際、そのカードのコストをマイナス1する」


このデッキ最大の特徴は特定条件下におけるコストダウンだ


これにより《盗む》や《スラム街のこそ泥》によって奪ってきた2枚含めて元々デッキに入っていないカードのコストが全て下がる


このフィールドの耐久値が減る条件は自身のターンエンドの為あと4ターンは持続する強力な効果だ


《守護者の剣》コスト4→3

《戦う鍛冶師》コスト3→2

《カラクリベンケイ》コスト6→5

《吸血の剣》コスト4→3


先程奪った《カラクリベンケイ》は6コスト5/4のユニットで召喚時ランダムな武器カードをデッキ外から手札に加える、《吸血の剣》は4コスト1/3のカードで与えたダメージ分HPを回復するという効果の武器カードだ。


そしてこの《盗賊団のアジト》のコストダウン効果は《カラクリベンケイ》のように奪ってきたものでは無くカード効果で加わったカードにも適応される


とはいえ手札は現在8枚、いい加減溢れるから一気に使う必要があるな


「《シールドゴーレム》でプレイヤーにダイレクトアタックしてターンエンド」

『ォォォォオオ………!』

「ぐぁ!?」


《財前 益男》HP28→27


「俺様のターン!コストを4支払い《炎の魔法剣》を装備!」


《炎の魔法剣》3/2


「《シールドゴーレム》に俺様自身で攻撃!

おらよ!くたばれ!」

『ォォォォオオ………!?!?』


《シールドゴーレム》1/3→死亡


《財前 益男》HP27→26

《炎の魔法剣》3/2→3/1


《シールドゴーレム》は反撃とばかりに体の石を使った礫を発射するが構えていたシールドごと本体を両断されて消滅する


「《炎の魔法剣》の効果発動!相手ユニットをこの武器で死亡させた時相手プレイヤーに2のダメージを与える!

そうら燃えやがれ下等職が!」

「ぐぅ!?あっつ……!」

「ターンエンドだ!」


《浅麦 誠》HP30→28


《炎の魔法剣》から炎の玉が飛んできて俺を燃やす


ダメージはそこまで大きくないがユニットを処理されるとダメージって考えると面倒だな


「俺のターン、コストを3支払い《守護者の剣》を装備。

更に残りのMPを支払い後列左側に《戦う鍛冶師》を召喚する」

「テメェそれは俺様のカードだぞ!」

「知るか、俺の手札にある以上は俺のカードだ。」

『それ、研いで置いてやったぞ』


《守護者の剣》2/2

《戦う鍛冶師》1/2


《戦う鍛冶師》の召喚時効果


《守護者の剣》2/2→3/3


「俺自身で《強欲な武器商人》に攻撃。

はぁぁぁあああ!!」

『ぐぎゃぁぁぁぁあああ!?!?』


《強欲な武器商人》2/3→死亡


《浅麦 誠》HP28→28

《守護者の剣》3/3→3/2


「ターンエンドだ」


正直職業アビリティである《奪う》が使えるだけのアビリティポイントは貯まったのだが今使うと確実に手札が溢れるので今はスルーする


「俺様のターン!コストを5支払い前列右側に『宮廷鍛冶職人』を召喚。

召喚時効果発動、俺様の武器の攻撃力と耐久値を1上げる!」

『ほっほっほ、仕上がりましたぞ』


《宮廷鍛冶職人》3/4

《炎の魔法剣》3/1→4/2


「俺様自身で《戦う鍛冶師》に攻撃!

また燃えやがれ!」

『うぎゃあぁぁぁぁぁぁぁ!?』

「ぐぅぅぅう!?!?」

「ターンエンドだ!」


《戦う鍛冶師》1/2→死亡


《財前 益男》HP26→25

《炎の魔法剣》4/2→4/1


《炎の魔法剣》の効果発動


《浅麦 誠》HP28→26


「俺のターン、コストを4支払い前列右側に《盗賊団の用心棒》を召喚

召喚時に代償としてカードを2枚捨てる」

『ブツは用意してあるんだろうな?』


《盗賊団の用心棒》4/4《挑発》


俺は手札から《カラクリベンケイ》と《吸血の剣》を捨てる


「更に職業アビリティ『奪う』を使用し、相手のデッキからランダムに2枚奪う」


これでデッキ外から得たカードは6枚、ちょっと早いがアレを出すか……


「コストとしてMPを2支払い前列左側に《古の山賊王》を召喚する」


《古の山賊王》3/6《2回攻撃》


「はぁ!?なんだそのカードは!?明らかコストがおかしいだろうが!?」

「『古の山賊王』はこのゲーム中デッキに入っていないカードが手札に加わった回数分コストがダウンする。

そしてこのカードの元のコストは8、更に現在奪った枚数は6,よって2コストで召喚可能だ」


このデッキ最大のエースカードである『古の山賊王』

やろうと思えば0コストでの複数召喚すらも可能な為凄まじい性能を誇るが盗賊専用カードの為注目されておらず、捨て値同然で売っていた為俺が軽く買い占めたカードだ


さて、一気に畳み掛けさせてもらおうか!



この作品に、最初のコメントを書いてみませんか?