「くそ!もう一度だ!もう一度勝負しやがれこの卑怯者!
あんな勝負認めねぇ!認められるわけねぇだろ!」
案の定というかなんというか……やはり勝敗が付いた後も結構しつこかった
まぁこのデッキは割と理不尽な要素が強いデッキだから仕方ないとはいえ往生際が悪くないだろうか?
「そこ、この授業は複数の生徒との対戦を想定した物だ。
連戦は認められない、負けたのであれば早く別の者とグループを組め。」
「先生!だってこの卑怯者が!」
「先程の対戦は私も見ていた。
勝てなかったのは貴様の油断と実力不足だ、弱いほうが悪い。」
「ぐっ!クソ!」
先生の実力不足という一言によって煩井はすぐに黙り込み、別の場所に向かっていく
なんというか扱いに慣れてるようなそんな印象がする
俺は今のうちにデッキケースを今のうちに収納して回転させ、別のデッキを取り出せるようにしておく
「次は僕だ、勝負したまえ」
またキャラの濃いやつが来たなぁ……
結局あの後軽く何戦かやったが常にデッキを変えていた影響もあってデッキ内容を読まれることもなく全勝することができた
勿論周囲からの評価はだだ下がりだ、まぁ罠によるOTK以外にもデッキ破壊とかの嫌われやすいデッキをいくつか持ってきていたしこれは仕方ないだろう
結果として溜まった俺のポイントは1万を超え、クラスでもかなり上位に食い込んだ
ただ俺のデッキはギミックの関係上速攻を決めるのは難しい為1位にはなれなかった
一戦目は罠によるOTK
二戦目は武器メインの戦士から盗みまくってこっちが武器で戦って普通に勝利
三戦目はデッキ破壊によるOTK
四戦目は自分のデッキを引き切ることを条件にした特殊勝利カードによる特殊勝利
ただ四戦目以降はやはりと言うか警戒され過ぎて俺と積極的に戦おうとする奴は居なくなり、組み合わせで余った者達と戦う事になった為あまり稼げなかった
「そこまで!
やはり一部の者たちがポイントをかなり独占する結果となったか。
今日の授業の結果を踏まえてお前達のタブレット端末に今バウンティポイントを付与した。
バウンティポイントを稼ぐ手段としてはこのように授業で好成績を出す事、もしくは相手と戦って奪うの2択になる。
バウンティポイントのランキングは常に自分のタブレット端末に表情されているのでそれを確認しておくように」
俺はタブレット端末を起動して早速自分に付与されたバウンティポイントを見てみる
5360ポイント、クラス内順位3位、学年内順位6位、校内順位圏外か……このポイントで校内順位圏外となるとやはり2年生や3年生は授業加算分のバウンティポイントが多すぎて俺達とは比べ物にならないんだろうな。
「それとバウンティポイントが1000を下回った場合我々の評価は常に最低となり、生活の質も落とさせて貰う。
場合によっては退学もあり得るので注意するように」
退学と来たか……授業をしっかりとやってれば常にそのレベルをキープする事はそうそうないだろうがそれをやってしまった場合はこの学園にいる資格無しとみなされるわけか
だがこのシステムには一部懸念点が存在している
下手したらイジメのようにとある一人の生徒だけを集中狙いして無理矢理デュエルさせ続けたりされたら相当不味いんじゃないかこれ?
そう考えると実力至上主義者が多いであろうこの学園に置いて一部の生徒の立場は相当危ういんじゃないだろうか?
「一先ず今日の実技の授業はここまでだ。
何か質問のある奴は居るか?」
先生がそう聞くが特に誰も手を挙げる様子は見受けられない
「そうか、ならば今日は……ここまでだ、各自教室に戻って次の授業の準備を行え」
「「「はい!」」」
「では解散!」
「「「ありがとうございました!」」」
後で校内のランキング確認しておこう、実際どれ程のバウンティポイントが要求されるのかを確認しておきたい
俺は校舎な戻りながらタブレット端末を操作し、少しづつ情報を集めていく
先程バウンティポイントを付与されたことでそれに関わる機能が一度にいくつも解禁されたようで、その中にはこのギガフロートについての情報もあった
どうもバウンティポイントが多ければ多いほどこれらの情報は順次解禁されていくようだ
今あるバウンティポイントで分かる情報としては"このギガフロートはこの学園の為だけに作られた"と言う事と"この学園そのものがとある研究施設を兼任している"というものだった
その研究施設が何を研究しているのかといった所や何故学園の為だけにここまで大規模なギガフロートが作られたのかといった情報までは解禁されていない
正直若干きな臭い感じがしないでもないが入学前からこのギガフロートの情報は全く集められなかった辺りある程度情報規制されていると見て良いのだろう。
例え素人の俺が調べようとしても無駄足で終わるだろうな
教室への移動が終わって少しすると3時間目の《職業学》の時間となり、教師と思われる人物が入室する
だがその教師が俺を一瞬見ていたのだが俺はその視線に何度も覚えがあった
なる程、実力至上主義者か
「静かにしてくれたまえ、これより『職業学』の授業を始める。
今日から君達の『職業学』の授業を担当する
さて、私が受け持つ職業学では過去にどのような人物がその職業を使っていたか、そしてその職業の専用カードにはどのような物があるのかを教えていく。」
厭味田先生はクラスの全員を軽く見回して鼻で笑う。
「先程の実技の結果は見させてもらったが盗賊程度の下等な職業に負けるような者達相手にこの私が教える価値があるものかね?
しかし授業をやらなければ私のキャリアに傷がついてしまう、丁度いい、そこの下等な盗賊についての授業を本日は行うとしよう。」
一々イラッとくるなこの先生
「まずは君達に送ったタブレットのデータをみてくれたまえ。」
先生が端末を操作すると俺たちのタブレット端末にデータが送信され、自動で画面が切り替わる
切り替わった画面にはまず全国の職業の選択比率がかなり細かくデータ化されており、各国毎の職業比率まであった。
ここまで詳細なデータは俺も調べられて居なかった為に少し驚いた、先程の発現からまともな授業をする気は無いのかと思ったがある程度の嫌味はスルーしてでも観る価値がある
「このように世界の職業の選択肢比率としては盗賊がトップクラスに低い事がコレを見て一目で分かってもらえただろう。
勿論各国の特色もあり、選択されやすい職業の傾向は大きく変わってくる。
だが盗賊の職業をわざわざ自分から選択する者は世界中どの国でもたった3%にも満たない。
出席番号9番のそこの君、なぜだか分かるかね?」
「はい、盗賊は世間一般的に見れば弱い職業だと教えられているからです」
「ふむ、50点と言っておこう。
ではなぜ弱いと言われているのか、そうだな……ここはあえて君に聞くとしよう。
出席番号2番、君が答えてみたまえ」
む、ここで俺を指名してくるか……
「単純な話盗賊のデッキ構築や戦術への理解をしている人が少なく過ぎるのもあるのでしょうけど全体的にダメージや攻撃力が低いカードが多く、デメリットがあったり特殊な効果のあるカードやギャンブル性のある効果のカードが多いからではないですか?」
「ふむ、どうやら君は自分の職業についてよく調べられているらしい。
この学園に入ってくるぐらいなのだからこの程度は知っていても当然と言うべきか」
実力至上主義者は大きく分けて2つある
一つは強ければ何をしても良いという考え方の人物。
もう一つは弱い事は罪であり、実力を示す者にはある程度敬意を示す人物
どうもこの先生は後者なのだろう、態度は色々と悪いがそこまでの悪意は感じない……ただやはり職業への偏見はそれなりに強そうだ
「ではこの職業に多く見られる効果をおさらいしていこう。」
タブレット端末の画面が切り替わり、それぞれの盗賊専用の職業アビリティとそれと同じような効果を持った代表的なカードが表示される
「まず盗賊の職業アビリティは味方単体へ《隠れ身》を付与する《隠れる》。
相手のデッキからランダムなカードを2枚奪い手札へと加える《奪う》。
あらかじめ決められた5種類の効果の罠から発動条件を設定して手札に加える《罠作成》、ただこれは1枚だけ選んだ場合はノーコストで即時設置が可能だ。
普通に考えれば手札に加えたほうが良いがコストも必要とする為これは状況に寄るだろうな。
さて、続いて出席番号2番。
これらの効果の弱点を述べてみなさい。」
また俺か……とはいえ多分この面子で盗賊への理解力があるのは俺だけだろうしこれは消去法なのだろうな
「《隠れる》は《隠れ身》によるユニット生存能力は確かに強いですがその分プレイヤーへの防御を薄くしてしまうので使うタイミングを間違えればプレイヤー側への集中攻撃が入ってしまう事。
《奪う》は効果の都合上盗むカードの対象がランダムな上に相手のデッキからカードを盗む都合上こちらのデッキとの相性や使えるかどうかはかなり運次第になってしまう事。
《罠作成》は相手が発動条件を満たさない場合そもそもの罠自体が発動せず、自分側で無理矢理発動させた場合は全体効果となるためこちらにもダメージが入る事です。」
「その通りだ、この職業のアビリティはどれも要求されるアビリティポイントが少ない代わりに全体的に効果はそれほど強くない傾向にある、特にユニット同士での殴り合いには不向きなカードばかりの為基本的には弱く、下等な職業と見なされている。」
俺としては使いこなせない側のが悪いと思うんだがな
その後も授業は続き、過去にどのような人物が使っていたか等の歴史関係の話になっていった
正直過去に使っていた人は割とどうでも良い話だった