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第33話

 ヘルガか本を持って来てくれた後、周回前の出来事を説明していく。

初めは理解が出来ていないのか、眉間に皺を寄せてしまっているが、ジョルジュとの出来事を話した後に驚いたような表情になり。


「マリス様、待ってください……今、ジョルジュが私にプロポーズをしたと仰いませんでしたか?」

「言ったわよ?ジョルジュが『戦いが終わって無事に生き残れて、マリスと共に学園から戻って来たらその時は俺の故郷に一緒に来てくれないか?』って」

「……そ、そんなジョルジュが私を?」


 ……?自分でもう一回言葉にしてみて気付いたけど、ジョルジュ……あの時私の事を呼び捨てにしてなかった?、試しにもう一度思い出して見るけれど、確かに呼び捨てにしている。

もしかしたら気持ちが昂ぶっていたのかもしれないけど、気付いてしまうと少しだけ複雑な気持ちになってしまうけれど、当時の事を考えたらしょうがないのかもしれない。


「……まさか、彼が私にそのような感情を抱いているだ何て思いもよりませんでした」

「そう言えば以前リバストから、ジョルジュが従騎士の女の子に好意を持ってるって聞いた事があったけど、ヘルガ……あなただったのね」

「……確かに当時は良くして貰いましたけど、それと好意とは関係ないのでは無いですか?」

「バカね……男って言うのはね、好意を寄せている相手には優しいのよ、まぁそれは女も一緒だけれどね、だって誰であれ気になる人には良く見られたいじゃない?」

「……そう言う物なんですかね」


 ヘルガは良く分かっていないような表情を浮かべるけれど、私はその気持ちが分かる気がする。

以前の人生でシルヴァ王子と親密な関係になり、婚約をする事になるまでの間、お互いに張らなくても良い見栄を張ってしまったり、良く見せようとして空回りをしてしまう事もあった。


「ヘルガ、私もジョルジュが優しくしてくれたりするのは、そういう事だと思うわよ?」

「……やめてください、そんな事を二人に言われてしまったら意識してしまうじゃないですか」

「私としてはこの護衛任務でくっついて貰っても構わないわよ?けど任務だけはしっかりとやってちょうだいね」

「……あの、お母様、もしかして楽しんでないかしら?」

「あら?楽しんじゃ悪いのかしら?あなたは分からないかもしれないけれど、結婚して子を育てるようになると、少しばかりときめきに飢えるのよ、貴族の中には当然用に浮気をするような輩達もいるけれど、私はマリウス一筋だから他人の初々しい恋路を見て楽しむのが楽しいの」


 相手の恋愛を見て楽しむのは、良くないのではないかと思うけど、お母様が今まで見た事が内容な程に華やかな笑顔で言葉にするから、返答に困ってしまう。

相手の人生を見て楽しんで上手く行かなかったら、とても気まずい気持ちになると思うし、それに私が同じ立場だったらと考えるといい気がしない。


「でもお母様、やっぱり人の恋路を楽しむのは良くないと私は思うわ」

「……そう?ならあなたの前では止めるわね、けどヘルガ、一度考えてみなさい、ジョルジュがあなたにプロポーズをしたのはマリスが経験した死に戻りをする前の出来事よ?、だから今のあなたにはとても大きなアドバンテージがあるの」

「……アドバンテージ?ですか?」

「えぇ、あなたがジョルジュの気持ちを知っているという事は、適切な距離を取る事も出来る筈よ?もし嫌ならそんな顔を赤くして無いで断ればいいじゃないの」

「で、ですが、私は平民の出で彼は貴族出の騎士です、余りにも身分の差があり過ぎますし、断りでもしたら相手のプライドを傷つける事になるかもしれません」


 そう言葉にしながらも、耳まで赤く染めている辺り満更でも無いんだと思う。


「あなた何を言ってるの?平民出だろうが、貴族であろうが……今のあなたは騎士であり準貴族よ?周りがどう言おうと堂々としていなさい」

「……けど、それでジョルジュが辛い思いをしたらどうすれば良いのですか?」

「辛い思いも、幸せな思いも全てをお互いに分け合い、支え合うのが夫婦であり人生のパートナーというものよ……、まぁ最近の私の行いを考えると説得力何て無いけどね」

「……分かりました、そう言う事なら私ヘルガ、覚悟を決めました、もしジョルジュが再び私に思いを告げて来た時はしっかりと受け止めて返事をさせて頂きます」

「えぇ、頑張りなさい?……あぁでも、だからってマリスの護衛はしっかりするのよ?私達がこのまま何も作戦を考えずに行動を起こしたら、今の出来事も全て無かった事になってしまうのだから」


 お母様の言うように、もし私が再び死ぬような事があったら、この出来事が無かった事になってしまう。

私は死ねば戻る事が出来るけれど、二人は今この時間のこの瞬間にしか生きていないのだから。


「……じゃあ、三人だけの作戦会議をする前の雑談はこれくらいにして、始めましょうか」

「えぇ、お母様、ヘルガ様、始めましょう」

「【愛欲のサラサリズ】を討伐又は無力化し、死に戻るをする事の無い未来を掴むための作戦会議を!」


 それぞれが席に着くと、真剣な表情を浮かべてサラサリズについてどう対処するかを話し合い出した。

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