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6 逆襲の仲間

 さて私は、お母様の若い頃の服を保管しておいた部屋に用意しておいた、今風の形に作り直した服と、先ほどのお金を多少を持ち出し、アダムズの家で再び着替えました。

 彼の家の裏には扉があります。

 そして館から見えない位置の塀の扉も。


「では行ってくるわね」

「お嬢さん、もし外がよければ、そのままこんなとこは放っておいていいんですよ」

「いいえ、ここは私の家よ。お母様が残して下さった、私の! あのひと達に踏み荒らされるのは本当に嫌! 掃除だって、あのひと達の手垢を染みつかせたくないからこそしっかりやっていたんですからね!」


 そして道に誰も居ないことを確認してから、私は外に出ました。

 地図は読めます。

 お母様が、この家の内部を説明してくれる時に図を使いました。

 そのとき一緒に、地図の読み方も教えてくれました。

 方位磁針を出し、方角を間違えない様にします。

 街までは2㎞もありません。

 タウンハウスとまではいきませんが、少しだけ離れた場所にあるというだけです。

 外から眺めてみると、そう、アダムズが言うように、近所のお家とそう変わらない大きさです。

 それでも。

 私は胸の辺りにあるロケットをぎゅっと掴みました。




 街はびっくりするくらいの騒がしさでした。

 その中から、スペンサーが勤めている「ハイライ会計事務所」を探しました。

 大きなところではなさげです。

 建物の二階を借りているところの様です。

 階段を上ると、そこから更に幾つもの部屋がありました。

 その一つの扉のガラスに「ハイライ会計事務所」と書いてありました。

 私はノックをしてからそっとドアを開けました。


「いらっしゃい…… えっ」


 ぱん、と机を叩いてスペンサーが立ち上がりました。


「マルゴット様!?」


 つかつかとスペンサーは私の方に近づいてきます。


「スペンサー、違います、私です」

「え…… もしや、マニュレット様?」

「ええ、久しぶり。元気そうで良かった……」

「奥様の、その服を見て、ついお懐かしく……」

「ああ、これ、お母様の服を仕立て直したの。今の柄ではないけど、とりあえず外に出るには充分でしょう? 形だけは、アリシアのを良く見ていたから知っていたのよ」

「ええ、ええ。確かに古いものではありますが、元々がしっかりしたものですから…… しかしお嬢様、ここにこうやっってその格好で来られたということは」

「ええ、とうとう追い出されたのよ!」

「その時が来ましたか」


 スペンサーもにやりと笑いました。

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