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ここは私のお家です。出て行くのはそちらでしょう?
江戸川ばた散歩
ミステリーサスペンス
2024年12月08日
公開日
35,068文字
完結
「私」マニュレット・マゴベイド男爵令嬢は、男爵家の婿である父から追い出される。
そもそも男爵の娘であった母の婿であった父は結婚後ほとんど寄りつかず、愛人のもとに行っており、マニュレットと同じ歳のアリシアという娘を儲けていた。
母の死後、屋根裏部屋に住まわされ、使用人の暮らしを余儀なくされていたマニュレット。
アリシアの社交界デビューのためのドレスの仕上げで起こった事故をきっかけに、責任を押しつけられ、ついに父親から家を追い出される。
だがそれが、この「館」を母親から受け継いだマニュレットの反逆のはじまりだった。

1 私の追放

「お前がこの家に居る意味なんてもう何も無いんだマニュレット! 今すぐ出ていけ!」


 そう言って父は玄関の扉を指しました。

 その父の背後では、義母と異母妹がにやにやと笑っています。


「わかりました。では」


 そう言った途端、頬を平手打ちされました。


「何だその言い方は。屋根のある家で今まで住まわせてくださりありがとうございました、飢えずに食べさせてもらってありがとうございました、だろうが!」


 私はそのまま何も言わず、扉の方へと歩いて行きました。

 ねえ、私はこの家だけは好きだったのよ。

 私が何もかも知り尽くした貴方だけはね。

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