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第25話 プロローグ とある竜騎士の失墜

 飛竜は自由と言う無限の思想であり、

 竜騎士は飛竜と共に大空を

 神速で疾駆することにより、

 真の自由と救いを得ることができる。


 そんな古の教えを噛みしめながら

 今日も神速を極めんと空を舞う。

 雲一つ見えない澄み切った空の

 濃い青みが視界全体に焼き付く。

 それは美しいと思ったのは

 一瞬のことで、

 すぐに俺の意識は呼び戻される。


「フレッチ、フレーーーッチ!」


 愛竜のいつものあだ名を喉が

 千切れるくらいに叫ぶ。

 スピードを出し過ぎたツケだろうか、

 俺は運よく渓谷から突き出た

 老木に引っかかった。

 先ほどの空のように青い飛竜が

 渓谷の最奥の中へと墜落してゆく。

 愛竜は、遂に谷の間へと消えていった。

 フレッチャー。

 俺はいつもフレッチの名で

 その名を呼んでいる。

 空色の勇壮な体躯と優しい黒の瞳を

 持つ美しい竜。

 その名を再び呼ぼうとして、

 俺の意識は途絶えた。

 その時をもって、

 永久に俺は空から追放されたのだ。


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