空がオレンジに染まったころ、台所から夕食のお石いにお氏に誘われてリジュナは思わず近づいていく。
「いい匂い。」
夕飯を作っているシェルがせっせと鍋をかき回している。
「今日は野菜スープと香草のサラダよ。」
「それはいいですけど……。」
リジュナは鍋の中身を見て首をひねる。
「いつもより量が少なくないですか?」
通常五人分を作るわけだが、今日はリーシャとミオがいない。に、しても異邦人がいるのだから結局人数は変わらず五人、まして二人は男なので食べる量も違うだろう。
しかしこの量はどう見ても……。
「これって女の子四人分くらいなんじゃ……?」
「ああ、リーちゃんからの言いつけでね。夜は絶対半人前でいいからって。」
「半人前?あんなにまき割頑張ったのに?」
「なんて言ったかな……。あ、そうそう!」
にっこりと笑ってシェルは続ける。
(ああ、ここにもリーシャちゃんの罠が……。今頃どこで何してるのかな、リーシャちゃん。)
沈みゆく日を眺めながらリジュナは目を細めた。