まずはじめに混沌があった。
それは混ざりあい、うねり、とぐろを巻いては離れて混ざる。
やがて混沌から光と闇が生まれた。
それらは互いに争い、戦い、激しい衝突を繰り返した。
衝撃から雷が生まれた。
やがて水と炎が飛び散り風がうねり土が起こった。
そこに大地が形成され、植物が大地を覆った。植物はゆりかごとなり動物を育て、最後に人間が生まれた。
精霊王国シラン。
精霊の力に満ちたその王国は300年という長き統治をを行っている。建国創世記によれば、初代王はドラゴンを従えていたとか。そのドラゴンの加護で土地は潤い精霊の好む地になった。
初代王には6人の従者がいた。その従者たちは代々王に使え、今では六大名家と呼ばれ変わることなく国を支えている。六大名家は精霊になぞらえ、雷、炎、水、地、風、木を家紋とし栄えている。
精霊の力に満ちたシランには精霊を見聞きし対話できる者たちがいる。それは精霊の愛し子と呼ばれる貴重な存在で、貧富や貴賤にかかわらず一定の条件を満たせば王立学院への入学が許可され、最大8年間在籍することが認められている。卒業後は軍属として精霊騎士団に所属するか、精霊の宮と呼ばれる精霊術師専門機関への登録が義務付けられている。
精霊術とは精霊の加護を身に宿し行う御業なわけだが、300年もたてばその様式は姿を変え、術師たちの大半は【精霊のランプ】と呼ばれる籠に精霊を閉じ込め調伏の末契約を結び使役している。その力は精霊の種類や階級により扱える程度は決まり、契約できる精霊の階級こそ術者の実力ともいえるのだ。人々はより強き精霊を求め、狩り始めたのである。