「……そう、あの時って私、そんな感じだったんだ……」
暫くして、寝たきり状態でいた時の事などを一通り聞いた
「あの……
「……うん……ちゃんと話合って……別れた」
「そう……なんだ――― もう……なんか、申しわけなくて……」
「でも、それは……完全に互いの意見が……一致してそう決めたんだ」
遠い目となった
「……私だったら出来たのかな」
敏感にそれを察知した
「あんなに好きで……決断……考えるだけでも辛すぎる……」
と膝を抱え、また泣き出しそうだ。
「澄美怜のせいじゃない」
「でも……でももう……会えなくなっちゃうのかな……」
「今はそっと。でもいつかまた、あの頃のように話せるようになれたら……ね」
「……ん。……そうなれたら……」
―――ありがとう……本当にありがとう。私の最大の理解者、
暫くの間、感謝の気持ちで一杯となり、祈るような沈黙が長く……それは長く続いた 。
◆◇◆
二人、気が付くと無心になって脱力し、壁にもたれて肩と頭を寄せ合って座っていた。
「落ち着いて来た? 疲れたろ。体に響くから今日はもう、ゆっくりしとこう」
「大丈夫。私、ずっと寝てたから。でも泣きすぎでちょっと頭痛いけど。フフフ」
「体、つらくないか?」
「下半身、動かして無かったから動き辛いけど、でも大丈夫。これからリハビリも頑張る」
「ああ、一緒に頑張ろうな」
うん! ―――と力強く頷いた。そしてくりっとした瞳で
「………ねえ」
「ん?」
「これからの私たちの事もちゃんと考えないとね。……
「みっ、って何、いきなり!」
「だって兄妹じゃなくて、恋人同士が一つ屋根の下で暮らすんだよ。……だから呼び方だってちゃんとしなきゃだし」
「でもその……名前でってのは……その、なんというか、まだ違和感があるっていうか……」
「んー、なら、……あなた、は? 」
!!……
「そ、そ、そっちの方が、ヤバイって!(危うくキュン死するところだった!)」
「でも記憶喪失のあと、そう呼んだりもしてたけど」
「それは俺が誰かよく分からない時だろ、意味が違うし!」
目をそらし萌え
―――クス、可愛い……
「あ・な・た」
「止めなさい! それは結婚とかしてからだろっ(はうっ!)」
急に頬を染め、うつ向いた
「……して、くれるんですか……?」
「そ、それは……いつかその時、
思わず兄の手に自分の手をそっとのせて、
「ありがと。そのいつか、待ってるね」
載せてきた細い指を手の平で受け直す。無言のまま親指でその細い指を優しく愛撫する
「じゃあ、しばらくは何て呼んだらいいの?」
とアザとく愛くるしい瞳で覗き込んで来る。
……そんなの決まってんのに……ワザと?
「それは…やっぱり……」
「やっぱり?」
「お……」
―――「お?」
「に……」
―――「に?」
……あ、これはまた兄を辱しめてスンデレを楽しんでるな。……フッ。でもさせないよ。
「コホン、だから、今まで通りで……ってのはどうかな」
等とすまし顔で切り抜ける。
クス、お兄ちゃんたら。 ……それなら!
―――― いつかきっと……
「じゃ-あ-、しばらく私の方がぁー」
―――― 愛しいその名で呼んでも……
「そうしたい、って事にしといてあげる」
―――― 照れずにいられるその日まで……
『呼び方だけは、
~今までの最っ高の笑顔で~
「 お兄~~~~~ちゃんっっっ!!」
!! Σ>ズキュ――― (〃°⌓°〃)―ン――― ➸ !!
〈 ついにキュン死のため――― 完 〉
※ 神が代償として与えた死はコレだったようです。
完読ありがとうございました。