デート中の深優人のスマホに入ったSOS。そして突然の中断に薊の心はズタズタになった。
翌日から登校も別、クラス内でも
家では何かに困り果てている兄を心配する
兄とのやり直しのきっかけを作ってくれた薊の叱咤激励。それに恩を感じていたことが
*
『どうしても話しがあるの』
下校途中の薊を見つけ、人通りの少ないとある大橋へと誘った
「本当にごめんなさい。あの時の兄は悪くないんです」
「何よ、関係無いでしょ 」
「でも……あの日は……」
「そもそも何なのよ! なんであなたがそんなに
「ちがうの! 兄は私を守ってくれているだけで…… 」
「何を守るって言うの? 彼女って言ってくれた存在を……あんなに確かなキスだってしてくれたのに……全て放り出してあなたの所へ飛んで行った……」
「ホントにごめんなさい。でもわざと邪魔したとかじゃない……です。信じて」
「信じれるわけないっ!」
「それでも兄は悪くなくて、とても悩んでるんです」
「当然よ。だって有り得ない。私は本当に真摯に向き合った……でも足げにされた……」
「違うんです、兄は仕方なく」
「もういいっ!……あんたなんか……あんたなんか妹のくせに!……どこまで行ってもそれ以上になれない存在なのにーっ!」
はっ、として、口に手をやる薊。今迄見せたことのない形相の
「……それだけは……それだけは絶対に……それを言うんですね」
傷の癒えぬ内にまともに塩を塗りつけられて。
どこまでも血が登る
「う……ごめん、だって……でもそうでしょ、あなただっておかしいと思わないの? あなたが度を越してるのは更さらだけど、
「……おかしい?……何も知らないで。冗談じゃない……私はどう言われたって構わない。でもあの人を悪く言うのは許さない!」
「……今さら正しかったとでも?」
「そうよ! ……どれだけあの人は……なのにそんな言い方……だったら薊さん、聞いてっっ!! 」
――その慄然とした叫び。その初めての
「もし一生を共にすると信じて来た最愛の人が、後から偶然兄妹関係と知ったら、薊さん、離れられるの? 例えば、あなたが実はあの人と兄妹だと『たった今』知ったらハイそうですかとすぐ諦められますか? ……私は、昔から……。結ばれない存在と知る前から、かけがえのない人だった。後から知っただけなのに……うう……ズズッ」
「なんであなたが泣くの? それが彼の正しさと何の関係が有るの?……もう何が何だか分からない。だけど今の話、もし私が兄妹なら、確かに諦められないって思うよ。けど今回の
もしちゃんと話すなら私、聞くけど。何かつらい事情があるって事なの? だって深優人は……訳は言えないって言ってた……」
「!―――やっぱり……そう……ですか。……なら、全て話します……兄の名誉の為に……」
兄の
そしてもし
そして以前幾度か、兄の居ない所で発作が出て、てんかんのような激しい痙攣により危ない所まで行きかけた事、薬の弊害で自棄衝動が酷くなった事、最近もその症状で病院送りになってしまった事も。
今までの長い付き合いから、
「そっか……そうなんだ……命にかかわる事だったんだ……皆イノセントなんだね………」
薊は今迄の謎が全て分かり腑に落ちた。そして良き理解者となった。
「私、あなたへの特別扱いにただ嫉妬してた。ホント浅はかだよね……ごめんね」