いつもの登校。
今日も変わらずスンデレ実妹とアザトイ系妹属性と一緒だ。
最近では大抵なにかしらで張り合っている二人だが、かといって、かの有名アニメの金髪ツインテールと黒髪ヤンデレのマジバトル程でなく、やや水面下での戦いだ。
少くとも
―――今日の冷戦はスマホ星座占いで俺との相性が何%だとか。はっきり言って数字を出すのをアプリ会社やめてくれないだろうか。 負けてる人のフォローが大変なんですけど。
どうやら
「恋愛運が私の方が10%も良かったですけど、がっかりしなくてもいいんですよ。
ああ、またそんな大人げのない事を。
グヌ~、と拳を握りしめ心中穏やかでない薊。
「大して違わないし。それに
「そうですね。とは言え、お兄ちゃんの優しさに甘えてばかりではダメですよって話しです。
果てしなく遠く険しい恋愛の世界の頂きを制するという事は十億段の階段を乗り越えて行く様なもの。
10%と言えどもあと1億段は残ってるって事を覚えておいて下さい。まだまだ努力が必要だというこの結果に真摯に耳を傾けるべきかと」
「ぐぎぎ……(こんなヘ理屈言う子だったかしら。全然可愛くないし!)」
……そろそろヤバイな。何かフォローだ!
「なあ、あざみんなら例えばもし10%の工夫があるとしたら何する?」
「そ、そうね、え……と、授業中に伝達メモとかで何かちょっとドキドキするトクベツな事でも伝えちゃおっかな。あ、それいいかも。今日やってみよ♡」
微かに眉間を詰まらせる
む~、何助け舟出してるのよ、しかも私ではやりたくても出来ない事を!
片方立てればもう一方が。瞬時に再フォローのリルートを行う
……仲がいいほど喧嘩すると言うけど、この二人、出会った頃の様な良い感じの友達になれないかな。ま、原因は俺にある様だけど……
「そう! 駅の向こう側にチェ―ンの大型画材店が出来たって。今日とか寄って見よっか」
行く行くーっ、の声が完璧にシンクロ。顔を見合わせて笑い合った澄美怜と薊だった。
◆◇◆
「ねぇ
より親密になって、あわよくば告白するタイミングを狙う
「いいよ。2年ぶりくらいかな。何か持ってく? うちのペンタブとか」
「うん、一応もって来て」
ヤッタネ!
「あの子、絶対について来ない様にね。あとスマホも置いてきて。ガンガン連絡来ちゃうし」
*
そして当日 ――――
今回は確約したから邪魔させない! ……ああ、プライベートで二人っきりは初めてかも。少し緊張する。トイレに行っとこ。
永遠園家では―――キョロリと見回してから母に近付き耳打ちする
「母さん、今日、隣のあざみんちに行ってくる。あと
そう言って妹に見つからぬようお隣へ。ピンポーン、と鳴りやまぬ前にドアが開く。
「あ、いらっしゃい。
うん、お邪魔します、と言うや、さっと身を隠す様に入る
……中学時代は何度か来たけど久しぶりだ。高校になっても来るとは思わなかったけど。
カチャンとカギをかけ、まずはリビングへ。浮き立つ足取りで先導する薊が居間入口まで来た所で『キャッ!!』 と飛び上がって驚いた。
「なっ、なんでアンタがここにいるのっ?! いつの間に? どういう事!」
後ろをふり返り、
―――そこには既に薊の母と歓談する
ニッコリと薊に微笑むと、
「こんにちは。昨日ケーキ作り過ぎておすそわけに来たの。薊さんトイレだったからお母さんにお渡ししてたら世間話しになって。それとお兄ちゃんの忘れものを届けに。はい、携帯」
「な、なんで忘れものが先に届いてんのよっ!」