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第22話 互いに反目するようになってしまった






 その後、あざみは永遠園家の末っ子の蘭も交えて遊ぶ事も増え、時として澄美怜すみれよりむしろ蘭の方に気が合う程だった。


 蘭とは特にPCオンラインゲームで意気投合、最近では澄美怜すみれ抜きで交流を続けている。薊も賢くてなつこい蘭の事が大好きで、とても可愛がっている。



 この日は薊と蘭がソシャゲで遊んでいた。



▼この手のゲーム、パンジーすみれちゃん付き合い悪くて……その点ランランちゃんはイイネー。しかもお姉さんから異常なブラコンをアク抜きしたピュアパンジーって感じでさ


≫私、ブラコンでシスコンなので、お姉ちゃんに似てるって言われると、とってもウレシーです。お姉ちゃんもとっても可愛がってくれるんです


▼それわかる―。私の妹になってよ―


≫はい、私で良ければいつでも貸し出しますよー。お隣なのでお泊まりもおKです


▼最近は姉妹でケンカとかする?


≫あんまり。いつでもベタ甘デス。ただケンカというより、いつもお姉ちゃんのものならなんでも欲しくなっちゃうから、よくお兄ちゃんの取り合いに


▼ランランちゃんおマセさんだもんね。で?


≫お兄ちゃんがお姉ちゃんのこと褒めてたりすると、私も~、ってなって、もっと褒められる事してお兄ちゃんの気を引くように頑張っちゃう。そうすると、優しいからお姉ちゃんも一緒に褒めてくれたりするんだけど、あまりお姉ちゃん以上の事をしてしまうと目が笑ってなくて。そこが引き際です。笑


▼ハハハ、良く分かってるね―。憎まれないタイプだよね。賢くてカワイイし、ゲームの付き合いもいいし


≫小学生は基本、暇なんです~ 笑。でもさすがにモデルデビュー系ソシャゲなんかお姉ちゃんには興味ないでしょうね~


▼やっぱあの娘は妹系オンリーか


≫ハハ、はい、そればっかです


▼ゲーム誘おうにもさすがに妹系ソシャゲなんて無いし……


≫私もアニメ鑑賞ばかり誘われます。妹系のばっかですが


▼私も小動物、とか妹っぽい、とかよく言われるから嫌いじゃないけど、妹ポジションって、モドカシイとこもあんのよ。ランランちゃんに分かるー?


≫私は子供だから分からないですー


▼またまたー。私達3人の中である意味一番冷静に見てるのって実はランランちゃんかも、って思うときあるよー


≫妹系でもきっと女の子として見てもらえますよー。

アザみんさんなら、みずはちゃんとか、さぎりちゃんの様に参考に出来る義妹で可愛い有名キャラあるじゃないですかー。 その路線ならきっといつか報われますよー。私の様に実妹だとそれ以上にはなれませーん


▼さすがランランちゃん、恐ろしい程わかってるし。ホント怖ーっ


≫でも実妹のハッピーエンドってほとんど無いのでお姉ちゃんの悩みはそこの様です。だから、お兄ちゃんの好きなタイプとは違うけど実は『きりのちゃん』推しでもあるんですよー、ぁ、喋り過ぎたかも。ここだけの話ってことでお願いしまーす


▼もしかして本気ってこと?


≫だから子供なのでよくわかりませーん。草


▼確かにあれはただのブラコンじゃないよね―


≫はい。 本妹も驚くハイパーブラコンです


▼やっぱそうか!


≫自宅ではよく顔を覆いたくなる様な事ばっかです。まあ指の隙間から見てますが


▼うらやましいなあ、やっぱ私も実妹になりた―い


≫どっちなんですか~。でもアザみんさんも兄推しなんですね


▼そうだよ。でも以前まえにタロットで友達からゆっくり始める様にって


≫それがいいかもです


▼やっぱ前の……たしかユリアちゃんとかいうカノジョのコト?


≫え―と、どうでしょう?


▼あー、やっぱランランちゃんはガチ賢いわー。あっちスミレムキにさせて聞くしかないネ-




◆◇◆

 薊さんにとって私は良い情報ツールだった。一緒に居ると兄の誕生日とか、様々な兄情報を聞かれた。


 友達と言いながらグイグイ兄との距離を詰めていく薊さんに、私は最初高みの見物的に見てるだけで邪魔する様な事はしなかった。


「ねえ、お兄さんて、昔じゃなくて今、好きな人とかいるのかな」


「どうでしょう。 今度それとなく聞いてみます? 私、妹だから聞く機会だけはバッチリです。 ただ、何て聞いとけば良いですか。ストレートに?」


「う~ん、『薊ちゃんってどう思う? 』 とかはさすがに無いよね~、ハハ……」


「いいんじゃないですか? あくまでも現時点での偏差値みたいなつもりで考えれば」


「いや、ちょっ、冗談だって。……まだそれは……」


「やっぱ、友達から、ですか?」


「タロットォー!」


ハハハ……フフフ……


 顔を合わせ二人で大きく笑った。でも薊さんが高1になり、私の恋心も育ってきてしまい、そのブラコンとは異なる感情と、お兄ちゃんの過剰なシスコンぶりも気にする様になった薊さんは、そのうち私をライバル視する様になってしまった。


「高校になったら私、深優人みゆとにアプローチする。だから登校とかにもう付いてこないで」


 何かがはっきり壊れるようにして動き出し、そして何かを奪われる気がした。


「……それは……私の自由です……」


 とつっぱった。その刹那、遂に一番ハッキリと言われたくない事を耳にした。





「―――でも妹なんて恋愛対象外なんだから常識的に行かないとね」





 今一番気にしている事。


 それを言われ引けなくなり、それ以来あまり仲良くいられなくなった。


 そこから互いに反目するようになってしまった。




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