長い髪をツインテールにした、やや丸顔のロリ系で可愛いらしい童顔。3才年下の我が家の末っ子・蘭と並べば流石に上に見えるけど、1つ下の私より年下に見えると思う。
大きな瞳と華のある雰囲気、そしてフリルブラウスにスイートなレイヤードスカー卜を着て、女の子らしさをアピールしている。
「九州から来て不慣れなので、色々ご一緒させてもらって良いですか?」
と母親同士で話しているその横で、一緒に挨拶している兄に対してこの童顔に似合う『くりっ』とした瞳が輝いたのを
当初は近い年代でオタク趣味の女子同士という事もあり、早速打ち解けた薊と
始めは引越前の九州での事や色々な身の周りの事を話していたが、聞かれるまま永遠園家の話をしていくうち、いつの間に
二人での楽しい登校。しかし半年、一年と経ち、足並みは少しずつズレて行った。
何?……幼なじみの
でもこの薊という子の登場でそれが恋愛感情の様なものが大部分だって……改めて気付かされてしまった……。
こうして現在、
中学時代から意外と気が合う二人は校内でもいつも一緒。となればいつ告白してしまうか、薊の好意を知る
ストーカーの件は嘘ではないがほぼ建前で、登校は二人にさせないためでもある。三人いつも一緒だ。
「ちょっとスミレ、今、私が話してた所だったんだけど」
「私が先でしたよね。それにその話、さっきもしてましたけど!」
両手に花か爆弾か。即、交通整理に乗り出す
「はい、じゃあ年上から順番によろしくね」
対処は早いほど良い、という事を学習している。
歩を進めつつ、
う~、しっかし妹という存在は普段近くにいられるという点では圧倒的アドバンテージな筈だけど、将来を思うと絶望的に不利。
ましてやライバルもお隣さんだし校内でも一緒。それだと妹のアドバンテージなんか生かせないよ……
自我が目覚めるほどに独占欲が育ってく。昔はお兄ちゃんを自慢出来れば自分も鼻が高くなって、むしろ少しでも多くの人に共有して欲しかったのに……今じゃ逆。
―――それは獲るか獲られるかという残酷な世界。
だが誰かを好きになってしまったその想いに気付いてしまえば、それが壊れてしまう迄は気持ちの電池にエネルギ―が充電され続け、否応なく勝手に動き回ってしまう。心も体も落ち着くことを知らずに。
「でね―、昨日公会堂に行ったらさ~、意外と可愛いオリキャラが居てね……」
足取りの軽い薊は相変わらず持ち前のトークで
……きっと
はぁ……なんかなぁ……んっ! もしお兄ちゃんが誰かの恋人になっても、ずっと私を一番に思ってくれたならそれで良いじゃない!
……ってそんなのあり得ないか。
私ってホント、しょーもないな。こんなんじゃ今晩はマズイかも。もっと楽しいこと考えて早く寝る様にしよう。
さもないと、私はあれに命を奪われる……
―――そう、私は自分の中の闇の発動を恐れている。