翌朝。
「今日は何分に出る? 一緒に行くからね。お兄ちゃんに付いて来てもらう様になってから、あのストーカーっぽい男の子現れなくなってホント助かる」
「それは良かった」
「面倒かけてゴメンね、お兄ちゃん、これからもしばらくお願いね」
お兄ちゃんはとっても優しくて、性格は少し控え目、かつ慎重派タイプ。その上、体を 鍛えるのが趣味だから力持ちで細マッチョ、イザという時はとても頼りになる人。
そして私だけが抱える『ある特殊な事情』……にもなくてはならない人。
元々大好きだったけど最近は別な意味で好きになってきて……自分でもちょっとどうして良いか困っている。
こんな私の『特別』であるお兄ちゃんは、普段はちょっと落ち着いてクールっぽいんだけど実はテレ屋さん。私が可愛く接すると、とってもタジタジしてくれるのがギャップ萌えしちゃう。
もはや相思相萌えのこの関係をずっとず―っと維持して行きたいと思ってる今日この頃。
さあ、今日もお兄ちゃんと一緒に登校。フフフ順調順調。これで妹道をさらに極めて行けるのデス!
『
……それは自分に課した『あるべき妹』の高みへと至る道。そしてお兄ちゃんを完全に自分色に染めること。
その① あらゆる妹の良さを刷り込み、妹至上主義にする。
→ マンガ・アニメ・ラノベなどをツールに常に妹へ意識を向かせる
その② 兄の快活を何よりも願う兄最優先主義
→ 振り向いて貰うだけでなく、兄へも見返りを求めない愛をそそぐ。
その③ こうして醸成された兄フェロモンをしっかり回収 (嗅ぎ癖は隠しつつ)
→ 最高の絆で生まれた良質な兄フェロモンを受け取る事こそエネルギー源
この好循環こそが大事! 照れ隠しで反発、というのが王道の妹属性は、ある意味で妹のあるべき姿。でも『兄愛』を追求する私には仲良くする時間が僅かでも減る事さえ許せない。
どんなラノべ・アニメ妹でさえもこの点で妹道をいまだに極めたとは言えないかと。私は
―――あ、お姉ちゃん、また何か変なこと考えてるな……
歯磨きしながら姉ウォッチャー・末っ子の蘭が正に的確かつ冷静に分析しているのもいつもの光景だ。
「お父さん、お母さん、行ってきま~す! じゃ、お兄ちゃん、一緒に行こっ。それと、あんまり
**
仲良く玄関ポーチを出て来る二人。家の角、それを待ち構えるツインテールの人影。
「まぁだ一緒に登校するつもりなんだ~」
イヤミの先制攻撃を喰らう
やっぱり今日も来たか……
そう、あれは私達の平和を揺るがす約2年前の事件から。私達がこよなく愛する隣家の幼馴染みで超美人のお姉さん、
この別れがこんなにも運命を変えて行こうとは……。
早速訪れた変化、私が中1に進学、お兄ちゃんが中2を迎えた春にその人はやって来た。
一人娘のその子は兄と同級で同じ学校に編入してくるという。
「こんにちは。初めまして、
長い髪をツインテールにした、やや丸顔のロリ系で可愛いらしい童顔。3才年下の我が家の末っ子・蘭と並べば流石に上に見えるけど、1つ下の私より年下に見えると思う。
大きな瞳と華のある雰囲気、そしてフリルブラウスにスイートなレイヤードスカー卜を着て、女の子らしさをアピールしている。
私はこの人をかわいいと思った。