日々エスカレートする世話焼きぶりに戸惑う兄・
「じゃあ食後はエスプレッソにする? 勉強するなら眠気醒ましにもいいし」
う……またしても世話焼きメイド……何か最近の
ま、自分で言うのも何だがムッツリシスコンとでも言うか、実に奥ゆかしいものだ……と思いたい。
でも最近の
「あ、甘味料は、こっちを使うんでしょ、はいパラスウィート。糖質控えめだもんね」
気が利きすぎというか、俺は甘やかされ過ぎなのだ。俺の全ての好みを熟知している。そしてその可愛さに清楚な微笑みを添えての日々の過剰サービス。もう『天使かよ』
その髪を下ろしている今は動く度に肩より下までのそれがサラサラと揺れ、繊細な細毛は日の光に当たった時などは栗色から琥珀色へのグラデーションとなって輝く。ヘアアイロンをかけずとも濡れ羽の様なツヤやかな髪からは、通りかかると仄かにいい香りを放って来る。
う~ん、これらは俺にとって文句なしに嬉しい状況のはず、なのだが恐らくは全て俺を虜にする為の演出……の気もする。こんなに甲斐甲斐しくして貰うと何か後が怖い……。
タ食はニュースを見ながらの一家団欒。向かいの席で凛とした佇まいと柔らかな澄まし顔の
ちょっとおい、可愛過ぎだろ!
アニメ妹であればここは「フン」〈プイッ〉 とか「何よ」とか、はたまた甲斐甲斐しい世話焼きの小事とかで兄をたじろがせて、イラ・カワな妹属性を全開にする場面である。
だが
ううう……この笑顔に超萌えてる俺も仕方無いヤツだが、それを必死に隠している所を見てそんな兄に
『あ、今お兄ちゃん、私の事可愛く思ってくれたよね?』等と思ってるハズだ。それが何となく伝わって来る。
そして『スン』としてたと思ったら不意打ち気味に目を合わせて意味もなく 〈ニコッ〉
「……っ!」
しかし……全く何を考えているのかこの子は。良く分からないが差し当たって妹のこんな態度を俺は『スンデレ』と呼んでいる。
近いものにク―ルでデレるヤツでクーデレと言うのがある。アニメで良くある冷たい態度ながら放つ言葉はデレった内容だったり、クールな仕草から急にデレになったりがそれだ。
その点で『スンデレ』は後者に似ているが、妹は対象を冷たく落としてから持ち上げる様な所は一切なくて、スンとお澄まししてる時も温かさを湛えて、そこからデレてくるこれは呼称が無いので俺的にスンデレと名付ける事にした。
「ああ……そもそもこの子からのツンデレ経験、一度も無いし……ホント優し過ぎる」
こんなに可愛い奇跡の妹だが、最近では至れり尽くせりが行き過ぎて妙にヘンタイっぽいものを感じる事も。
何かクンクンされてたり?……ストーカーみたいな時もあって……。兄としてちょっと心配……。
まあ怖いのであまり考えない様にしてるけど。
そう、