「ねぇねぇ。佳子、卒アル届いた?」
美紀の電話の第一声である。
「届いたよ」
わたしは久しく会っていない同級生の声を、約半年ぶりに聴いた気がする。
「ひどくない。この写真」
「何が?」
「いくらなんでも、今どき無加工はきついわ」
「うんそうだよね。一瞬美紀がどこにいるのか、分からなかったよ」
「だよね。撮りなおしてえ~」
「いまさら無理だよ。でもさ、先生だけバッチリ化粧してるってズルくね」
「そうそう。まったく人権蹂躙だ、これは」
「蹂躙て、こういう時に使う言葉だっけ」
「ところでさ美紀。あたし初めて見たんだけど」
「何を?」
「同級生ってこんな顔してたんだ」
「なにしろ卒業するまで、マスク生活だったもんね~」
「意味ある?このアルバム」