6月×日
恋人ができました。
とても素敵な恋人です。
6月×日
恋人の田島くんがキスをしてきました。
ちょっと積極的すぎ。こまっちゃう。
6月×日
わたし妊娠したかもしれない。
母に相談したら、そんなことで赤ちゃんはできないと言われました。
6月×日
最近、教頭先生がわたしをいやらしい目で見てきます。
6月×日
恋人と別れました。
他に好きなひとができたというのです。
ひどい。信じられません。
6月×日
わたしは悲嘆に暮れて学校を休みました。
6月×日
クラスメイトのゆう子が給食のパンを届けてくれました。
わたしはそのパンをゆう子に投げつけてやりました。
だって、恋人を盗ったのは、そのゆう子だったからです。
6月×日
とうとう教頭先生が本性を現しました。
つき合ってくれたらお小遣いをくれるというのです。
わたしが断ると、教頭先生は怖い顔をして睨みつけるのです。
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
“・・・という内容の日記が校庭に落ちていました。心当たりのある生徒は、放課後、校長室に取りに来てください”
「校長!」校長室に教頭が飛び込んできた。「なんですか今の校内放送は」
机の上でなにやら本のようなものを広げていた校長が、うつろな顔をあげた。
「ああ、教頭先生。ここに書かれているのは事実なのかね?」
校長が日記を手渡した。教頭がページをめくる。
「事実無根です。だれがこんなことを・・・・・・」
そこにノックの音がして、女子生徒が入って来た。瞳が怒りに燃えている。
「校長先生。また他人ひとの日記を勝手に読んだのですね」
「きみはたしか以前にも・・・・・・」
「そうです。荷物検査で大切な日記を読まれた生徒です」
「どういうことだ」と教頭が詰め寄ろうとしてよろけた。
「乙女の日記を勝手に読むなんて、プライバシーの侵害だと思いませんか?実はその日記には揮発性の毒が染みこませてあるんです」
「なんだって!」校長の手が震えだした。
「数ページめくった時点で体中に毒が回っているはずです」
「たかが日記じゃないか。そんなに怒らなくたってきみ・・・・・・」
「あら校長先生。アンネ・フランクリンだってきっと天国でそうとう怒っていると思うわ」