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オープン・ワールド

「ああ暇だぞ」

 忙しいときの時間はあっという間に過ぎていく。そしていざ自由な時間があり余ったとき、時間を持て余してしまうのである。

 とりあえず会社に電話を入れておこう。

「もしもし・・・・・・あ、部長ですか・・・・・・え、いま手が離せない・・・・・・失礼しました。またかけ直します」

 そうだ友達に連絡を取ってみよう。ぼくは学生時代の友人の電話番号を引っ張り出して電話を掛けてみた。

「あ、ぼく。弘毅」

「ああ、弘毅か。久しぶりだなあ。元気にしていたか?」

「うん。元気だよ」

「いま何やってんの」

「会社員さ。永年勤続賞で長期休暇もらったんだけどさあ。いままで仕事仕事でやってきただろう。いざ休めるとなると、いったいどうやって時間を使ったらいいのか全く検討がつかなくてね」

「ははん。なるほど。弘毅みたいに仕事漬けの人間はそうなるよな。なにか趣味とかないのかい?」

「まったく」

「テレビゲームでもやったらいいじゃないか。最近のゲームは進んでるぞ。いつまでも遊んでいられるんだ」

「テレビゲームかぁ・・・・・・。それやってみるよ。どんなゲームが面白いんだ、紹介してくれよ」

「ああ、いいとも」


※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※


 持つべきものは友達である。ぼくは言われたとおり、近所の量販店でゲーム機とソフトを購入してきた。

 接続が終わり、さっそくスイッチを入れた。なんでもこのゲームは自由度が高く“オープン・ワールド”というらしい。どこにでも行けるし、なにをやってもいいのだ。

『さあご自由にどうぞ!』

「・・・・・・」

 ぼくはさらに悲嘆にくれてしまった。そう、なにをしたらいいのか全くわからないのだった・・・・・・。

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