ギャング達の襲撃により、賢一たちは、路上に伏せるしかなく、窮地に陥った。
「撃ってきたぞっ! 全員、伏せろっ!」
「危ないわよっ! みんな、頭を下げてっ!」
「きゃああっ!」
「また、ギャングかよっ!? なんて、ツイて無いんだっ!!」
賢一とモイラ達が、叫ぶと同時、青緑色の壁に当たった弾丸が金属音をカンカンと鳴らす。
メイスーは、頭を両手で覆い、ダニエルは、ギャング達を睨みながら叫ぶ。
「奴等を殺せっ!」
「ヒャッハーー!! 行けええっ!!」
「撃ちまくるんだぜっ!」
ピックアップを中心とするギャング達が、正門を破壊しながら突破しつつ、駐車場に侵入した。
兵士たちの持つ、M16A2による銃弾を浴びながらも、車両部隊は突撃してくる。
運転していた、東南アジア系ギャングは車から降りると、ドアを盾にして、トカレフを撃った。
助手席から降りた、ギャングも直ぐさま地面に伏せると、トンプソンを乱射した。
白人ギャングは、荷台から飛び降りると、後部左側から、M1カービンを撃ちまくる。
黒人ギャングは、屋根から上半身だけを出して、マカロフを乱射する。
後からも、黄色いバジャイ、白い軽トラなどが続き、バイクも何台か走る。
「連中が、正門を突破したぞっ!」
「絶対に、病院には入れるなよっ!」
太平洋系の兵士は、M16A2で反撃して、白人兵士は、手榴弾を投擲しようとする。
「手榴弾だっ!」
「投げ返せっ!」
赤いバイクに、身を隠しながら、東アジア系のギャングは、手榴弾を拾うと投げて爆発させる。
軽トラの屋根から、黒人ギャングは、ミニM14で何度も、ライフル弾を放つ。
「不味いなっ! 連中、人数と勢いが凄いっ!」
「援護するわよ、放置できないからねっ!」
「だなっ! 戦いは嫌だが、ここは助けてやるぜっ!」
「ここは狙い撃つしかないですっ!」
青緑色の柵は、土台がコンクリートになっているため、拳銃弾ていどなら防げそうであった。
そのため、賢一は、伏せながら事態を見守り、どうにか敵を倒せないかと思案する。
歩兵部隊を援護するため、コルト45で、挟み撃ちにしようと、モイラは射撃を始めた。
ダニエルは、トカレフを乱射しながら、軽トラやピックアップを攻撃する。
メイスーも、二十六年式拳銃を両手で確りと握り、ギャング達を一発ずつ狙い撃った。
「うぎゃっ! さっきの連中だな? まさか、銃を持っていたとは」
「奴等、逃げなかったのかっ!!」
横にした黄色いバジャイを、黒人ギャングは盾にしていたが、いきなり右肩を撃たれてしまった。
その近くで、バイクに身を隠しながら、グリースガンを撃ちまくる白人ギャングも驚いた。
「よし、この調子で、撃ちまくってくれっ! 俺も、こっそりと後ろから連中に近づ…………」
「あそこにも、敵がっ!」
「他のグループかっ?」
左右のどちらかに回り込み、そこから賢一は、駐車場内に侵入して、裏から奇襲しようと考えた。
だが、後ろからも別動隊が、灰色の軽トラや赤いバジャイに乗って、いきなり現れた。
白人ギャングと黒人ギャング達は、病院の左側手前に車両を停めると、銃撃を始める。
ベレッタ92、S&W44マグナム等による射撃が開始されて、弾丸が激しく飛んできた。
「ま、不味いっ! 後ろからも来たぜっ!」
「ひいいっ! どうしましょう」
「撃ち返すしかないっ!」
「やるわよ、やるしかないわ」
慌てだす、ダニエルとメイスー達は、必死で銃弾を、ギャング達に向けて放つ。
対する、ジャンとエリーゼ達は、険しい顔をしながらも、冷静に敵を狙い撃とうとする。
「撃ちまくれーーーー!!」
「奴等を、殺るんだっ!!」
白人ギャングは、改造M1カービンを猛烈に乱射して、とにかく弾丸をバラまく。
黒人ギャングも、イングラムから大量の銃弾を放ちまくり、こちらを牽制してきた。
「きゃああああっ!」
「ヤバイわ? でも、これは当たらないから心配しないでっ!」
「そうだっ! メイスー、奴等は闇雲に乱射しているだけだっ! 落ち着け…………」
「だからって、これでは撃たれてしまうかも知れないっ!」
あまりにも、凄まじい弾幕に、メイスーは悲鳴を上げるが、モイラは冷静に反撃する。
そして、賢一は、銃撃に気をつけながら、病院とは反対側にあるカーキ色の建物に目を向ける。
マグナム弾を、一番形拳銃から放ちながら、ジャンは敵の注意を惹くために駆け出していく。
「あっ! 勝手に? 仕方ない、俺も動くしなかいかっ! 他に何か手だては?」
「あら? また、新手だわ」
「グアアアア~~~~!?」
「ギャアーーーー!」
賢一は、ジャンを追って、反対側にある建物に走っていくが、その間も銃撃は止まない。
しかし、エリーゼは不振な動きをする者たちを見かけ、目を細めながら、不意に呟いた。
「アレはっ!? ゾンビッ!! 銃声に吊られて、やって来たんだな?」
「はやく、奴等を止めないと、さらにゾンビが現れる可能性があるっ!」
賢一とジャン達は、向かい側にあるカーキ色の建物に目を向けながら走る。
青い窓ガラスが目立つ、何かの店であると思われるが、やはり手前に茶色い柵がある。
その下部は、コンクリート壁になっており、向こう側に飛び越えられなくもない。
しかし、二人の目的は、自分たちが敵から銃撃を受けて、注意を惹きつける事だ。
だが、そのために走っている途中、ギャング達の背後から様々なゾンビ達が走ってくる。
「うわっ! く、くるなあ~~~~!?」
「ひぃっ! や、やめろ、近寄るなっ!」
「グャッ!?」
「ギエッ?」
「グアアアアーー!!」
「ギャ~~~~~~!?」
グリースガンを撃ちまくり、白人ギャングは敵を近づけまいと、必死で応戦する。
太平洋系ギャングも、グロック17を連射させて、ゾンビ達を次々と倒す。
フレッシャーは、足や胴体を撃たれて、走りながら前のめりに倒れる。
遠くから飛ぼうとしていた、ジャンピンガーも、頭に弾丸を喰らってしまい、その場で崩れた。
しかし、45口径弾を何発か受けても、遠くから走ってくる奴は減らない。
跳び跳ねる連中も、大量の9ミリ拳銃弾を浴びたが、群れが止まる気配はない。
「賢一、ジャン、病院に逃げるよっ! 援護するから走って」
「モイラ、援護に感謝するっ!」
「済まない、今そちらに行くっ!」
「グアアアアアアーー!!」
「ぎゃああああ」
モイラは、コルト45を膝だちで構えて、ギャング達を攻撃しながら叫ぶ。
その間に、賢一とジャン達は、ひたすら道路を横断しながら走っていく。
フレッシャーに対して、白人ギャングは、改造M1カービンを連射しまくる。
しかし、マシンガンのように乱射するも、結局は勢いを止められず、肩を噛まれてしまった。
他のギャング連中も、ジャンピンガー達を押さえきれず、捕まえられて抵抗できなくなる。
「お前ら、急げっ! 早くしないと、アイツら見たいに喰われちまうぜっ!」
「ひぇぇ~~!? 先に行きますねっ!」
「二人とも、さっさとくるのよ」
トカレフを片手で撃ちながら、ダニエルは焦った表情をしつつ、二人を援護しようとする。
メイスーは、コンクリート台へと一足先に上がり、エリーゼは冷静に、スカンジウムを撃つ。
「ああ、先に行ってくれっ! 俺たちが、最後になるっ!!」
「そうだっ! 気にしないで、行って構わないっ!」
賢敵を観察したため、賢一の走る速度は、ジャンより少しだけ遅くなる。
「分かったわ、もう先に行くわよっ!」
「もう、ダメね? 退散するわ」
「ここからでは、うまく狙えないわっ!?」
「大丈夫だっ! 気にするなっ!」
「賢一? 遅れるなよっ!」
モイラは、援護射撃を止めて、コンクリート台から柵の上へと、よじ登る。
同じく、スカンジウムをポケットに閉まってから、エリーゼも駐車場へと逃げ込もうとした。
その最中、賢一は仲間たちに合流するべく、必死に走るが、ジャンには追いつけそうに無い。
ジャンは、先に青緑色のポールを掴み、向こう側に飛び込もうとした。
「賢一さんっ!?」
「敵が来てるぞっ!」
「ギャアアアア」
「グルアアーー!」
メイスーは叫び、いつの間にか、駐車場に入っていた、ダニエルも柵から、トカレフを出す。
彼の援護により、フレッシャー&ジャンピンガー達は、足留めを喰らう。
「分かってるっ! うわっ! 掴むんじゃねえっ!」
「ギャギャッ! グワァァッ!?」
ポールを掴んで、コンクリート台に上がったばかりの賢一に、フレッシャーが襲いかかった。
しかし、奴は彼の右足を掴むも、即座に左足で、思いっきり蹴り飛ばされてしまった。