目次
ブックマーク
応援する
1
コメント
シェア
通報

第21話 病院防衛戦


 ギャング達の襲撃により、賢一たちは、路上に伏せるしかなく、窮地に陥った。



「撃ってきたぞっ! 全員、伏せろっ!」


「危ないわよっ! みんな、頭を下げてっ!」


「きゃああっ!」


「また、ギャングかよっ!? なんて、ツイて無いんだっ!!」


 賢一とモイラ達が、叫ぶと同時、青緑色の壁に当たった弾丸が金属音をカンカンと鳴らす。


 メイスーは、頭を両手で覆い、ダニエルは、ギャング達を睨みながら叫ぶ。



「奴等を殺せっ!」


「ヒャッハーー!! 行けええっ!!」


「撃ちまくるんだぜっ!」


 ピックアップを中心とするギャング達が、正門を破壊しながら突破しつつ、駐車場に侵入した。


 兵士たちの持つ、M16A2による銃弾を浴びながらも、車両部隊は突撃してくる。



 運転していた、東南アジア系ギャングは車から降りると、ドアを盾にして、トカレフを撃った。


 助手席から降りた、ギャングも直ぐさま地面に伏せると、トンプソンを乱射した。



 白人ギャングは、荷台から飛び降りると、後部左側から、M1カービンを撃ちまくる。


 黒人ギャングは、屋根から上半身だけを出して、マカロフを乱射する。



 後からも、黄色いバジャイ、白い軽トラなどが続き、バイクも何台か走る。



「連中が、正門を突破したぞっ!」


「絶対に、病院には入れるなよっ!」


 太平洋系の兵士は、M16A2で反撃して、白人兵士は、手榴弾を投擲しようとする。



「手榴弾だっ!」


「投げ返せっ!」


 赤いバイクに、身を隠しながら、東アジア系のギャングは、手榴弾を拾うと投げて爆発させる。


 軽トラの屋根から、黒人ギャングは、ミニM14で何度も、ライフル弾を放つ。



「不味いなっ! 連中、人数と勢いが凄いっ!」


「援護するわよ、放置できないからねっ!」


「だなっ! 戦いは嫌だが、ここは助けてやるぜっ!」


「ここは狙い撃つしかないですっ!」


 青緑色の柵は、土台がコンクリートになっているため、拳銃弾ていどなら防げそうであった。



 そのため、賢一は、伏せながら事態を見守り、どうにか敵を倒せないかと思案する。


 歩兵部隊を援護するため、コルト45で、挟み撃ちにしようと、モイラは射撃を始めた。



 ダニエルは、トカレフを乱射しながら、軽トラやピックアップを攻撃する。


 メイスーも、二十六年式拳銃を両手で確りと握り、ギャング達を一発ずつ狙い撃った。



「うぎゃっ! さっきの連中だな? まさか、銃を持っていたとは」


「奴等、逃げなかったのかっ!!」


 横にした黄色いバジャイを、黒人ギャングは盾にしていたが、いきなり右肩を撃たれてしまった。


 その近くで、バイクに身を隠しながら、グリースガンを撃ちまくる白人ギャングも驚いた。



「よし、この調子で、撃ちまくってくれっ! 俺も、こっそりと後ろから連中に近づ…………」


「あそこにも、敵がっ!」


「他のグループかっ?」


 左右のどちらかに回り込み、そこから賢一は、駐車場内に侵入して、裏から奇襲しようと考えた。


 だが、後ろからも別動隊が、灰色の軽トラや赤いバジャイに乗って、いきなり現れた。



 白人ギャングと黒人ギャング達は、病院の左側手前に車両を停めると、銃撃を始める。


 ベレッタ92、S&W44マグナム等による射撃が開始されて、弾丸が激しく飛んできた。



「ま、不味いっ! 後ろからも来たぜっ!」


「ひいいっ! どうしましょう」


「撃ち返すしかないっ!」


「やるわよ、やるしかないわ」


 慌てだす、ダニエルとメイスー達は、必死で銃弾を、ギャング達に向けて放つ。


 対する、ジャンとエリーゼ達は、険しい顔をしながらも、冷静に敵を狙い撃とうとする。



「撃ちまくれーーーー!!」


「奴等を、殺るんだっ!!」


 白人ギャングは、改造M1カービンを猛烈に乱射して、とにかく弾丸をバラまく。


 黒人ギャングも、イングラムから大量の銃弾を放ちまくり、こちらを牽制してきた。



「きゃああああっ!」


「ヤバイわ? でも、これは当たらないから心配しないでっ!」


「そうだっ! メイスー、奴等は闇雲に乱射しているだけだっ! 落ち着け…………」


「だからって、これでは撃たれてしまうかも知れないっ!」


 あまりにも、凄まじい弾幕に、メイスーは悲鳴を上げるが、モイラは冷静に反撃する。


 そして、賢一は、銃撃に気をつけながら、病院とは反対側にあるカーキ色の建物に目を向ける。



 マグナム弾を、一番形拳銃から放ちながら、ジャンは敵の注意を惹くために駆け出していく。



「あっ! 勝手に? 仕方ない、俺も動くしなかいかっ! 他に何か手だては?」


「あら? また、新手だわ」


「グアアアア~~~~!?」


「ギャアーーーー!」


 賢一は、ジャンを追って、反対側にある建物に走っていくが、その間も銃撃は止まない。


 しかし、エリーゼは不振な動きをする者たちを見かけ、目を細めながら、不意に呟いた。



「アレはっ!? ゾンビッ!! 銃声に吊られて、やって来たんだな?」


「はやく、奴等を止めないと、さらにゾンビが現れる可能性があるっ!」


 賢一とジャン達は、向かい側にあるカーキ色の建物に目を向けながら走る。


 青い窓ガラスが目立つ、何かの店であると思われるが、やはり手前に茶色い柵がある。



 その下部は、コンクリート壁になっており、向こう側に飛び越えられなくもない。


 しかし、二人の目的は、自分たちが敵から銃撃を受けて、注意を惹きつける事だ。



 だが、そのために走っている途中、ギャング達の背後から様々なゾンビ達が走ってくる。



「うわっ! く、くるなあ~~~~!?」


「ひぃっ! や、やめろ、近寄るなっ!」


「グャッ!?」


「ギエッ?」


「グアアアアーー!!」


「ギャ~~~~~~!?」


 グリースガンを撃ちまくり、白人ギャングは敵を近づけまいと、必死で応戦する。


 太平洋系ギャングも、グロック17を連射させて、ゾンビ達を次々と倒す。



 フレッシャーは、足や胴体を撃たれて、走りながら前のめりに倒れる。


 遠くから飛ぼうとしていた、ジャンピンガーも、頭に弾丸を喰らってしまい、その場で崩れた。



 しかし、45口径弾を何発か受けても、遠くから走ってくる奴は減らない。


 跳び跳ねる連中も、大量の9ミリ拳銃弾を浴びたが、群れが止まる気配はない。



「賢一、ジャン、病院に逃げるよっ! 援護するから走って」


「モイラ、援護に感謝するっ!」


「済まない、今そちらに行くっ!」


「グアアアアアアーー!!」


「ぎゃああああ」


 モイラは、コルト45を膝だちで構えて、ギャング達を攻撃しながら叫ぶ。


 その間に、賢一とジャン達は、ひたすら道路を横断しながら走っていく。



 フレッシャーに対して、白人ギャングは、改造M1カービンを連射しまくる。


 しかし、マシンガンのように乱射するも、結局は勢いを止められず、肩を噛まれてしまった。



 他のギャング連中も、ジャンピンガー達を押さえきれず、捕まえられて抵抗できなくなる。



「お前ら、急げっ! 早くしないと、アイツら見たいに喰われちまうぜっ!」


「ひぇぇ~~!? 先に行きますねっ!」


「二人とも、さっさとくるのよ」


 トカレフを片手で撃ちながら、ダニエルは焦った表情をしつつ、二人を援護しようとする。


 メイスーは、コンクリート台へと一足先に上がり、エリーゼは冷静に、スカンジウムを撃つ。



「ああ、先に行ってくれっ! 俺たちが、最後になるっ!!」


「そうだっ! 気にしないで、行って構わないっ!」


 賢敵を観察したため、賢一の走る速度は、ジャンより少しだけ遅くなる。



「分かったわ、もう先に行くわよっ!」


「もう、ダメね? 退散するわ」


「ここからでは、うまく狙えないわっ!?」


「大丈夫だっ! 気にするなっ!」


「賢一? 遅れるなよっ!」


 モイラは、援護射撃を止めて、コンクリート台から柵の上へと、よじ登る。


 同じく、スカンジウムをポケットに閉まってから、エリーゼも駐車場へと逃げ込もうとした。



 その最中、賢一は仲間たちに合流するべく、必死に走るが、ジャンには追いつけそうに無い。


 ジャンは、先に青緑色のポールを掴み、向こう側に飛び込もうとした。



「賢一さんっ!?」


「敵が来てるぞっ!」


「ギャアアアア」


「グルアアーー!」


 メイスーは叫び、いつの間にか、駐車場に入っていた、ダニエルも柵から、トカレフを出す。


 彼の援護により、フレッシャー&ジャンピンガー達は、足留めを喰らう。



「分かってるっ! うわっ! 掴むんじゃねえっ!」


「ギャギャッ! グワァァッ!?」


 ポールを掴んで、コンクリート台に上がったばかりの賢一に、フレッシャーが襲いかかった。


 しかし、奴は彼の右足を掴むも、即座に左足で、思いっきり蹴り飛ばされてしまった。

この作品に、最初のコメントを書いてみませんか?