「フェッテン様ぁ~~~~……あ゛あ゛あ゛あ゛~……」
ってことでフェッテン様と魅惑の夜デート。
「アリス……私は基本的にはどんなそなたも好きだし受け入れるつもりでいるが、その声は淑女としてどうなんだ?」
「えへへ……」
「いや褒めてないんだが……」
王城、フェッテン様の部屋の隣、『アリス』でフェッテン様を抱きしめつつ抱きしめ返されつつ、フェッテン様とチビを同時に吸う。
私の人生の中でたぶん、一番幸せな瞬間だ。
……いや、ゲーム開発は? うっ……甲乙つけられない。同着一位ってことで!
ってなわけで、今日も幸せな気持ちのまま眠りに落ちる……。
◇ ◆ ◇ ◆
……おぎゃあっ、おぎゃあっ……
……おん?
◇ ◆ ◇ ◆
承認書類を捌き、【
その後フェッテン様に事情を説明し、夕食デートののち、王城の見張り塔の上で夜空を眺めることにした。
具体的には、果たして空から隕石が降って来るのかどうかを。
私たちふたりの周りを【聖域】で包みつつイチャラブトークをしていると、果たして――
…………ゴォォォォォォォオオオオオオオオオオオオ!!
「「あー……」」
「降って来たな……」
「来ましたねぇ……はぁ~【ロード】!」
◇ ◆ ◇ ◆
ってことで陛下以下チーム・アリスと聖女たちを緊急招集し、対処した。
対処方法はまあ、1ヵ月前と同じだ同じ。
◇ ◆ ◇ ◆
さらに翌月、初夏のとある晩。
今日の政務をこなし、軽い疲れとともにチビに頭をうずめて布団にもぐる。
◇ ◆ ◇ ◆
……おぎゃあっ、おぎゃあっ……
ま、ままままさか――
◇ ◆ ◇ ◆
…………ゴォォォォォォォオオオオオオオオオオオオ!!
「月刊雑誌か何かかよォ~~~~ッ!!」
私は燃える夜空に向かって吠えた。
◇ ◆ ◇ ◆
「打って出ます」
1ヵ月前――2回目の隕石襲来対処後に【ロード】て、魔の森別荘の作戦指令室にて。
陛下以下チーム・アリスの面々に向かって、私は宣言した。
「やつら毎月撃ってきます。このままじゃ聖女ちゃんたちへの特別報酬で砂糖が枯渇し、蒸留酒が流通できなくなります。あと聖女ちゃんたちが激太りしてしまいます」
「「「「「そっち!?」」」」」
皆さんからの突っ込みに対し、
「過剰な流通は害ですが、まったく流通できなくなるのも領民のストレス増加になりますので」
「ま、まぁ、言っとることは領主として間違っちゃおらんが……」
陛下が引きつり笑いをしながら、
「ちと緊張感がなさすぎではないかの?」
「私は真剣ですよ!」
娯楽大事!
個人的にはお酒は別になくてもいいけど、甘味とゲームとフェッテン様とチビを全部取り上げられたら私、たぶん生きていけない。生きていくには、心の拠りどころってやつが必要なのだ。
「じゃが、具体的にどうするのじゃ? 魔の森を更地にしつつ進軍するのか?」
「いえ……幸い、私には【ふっかつのじゅもん】がありますので、無駄な殺生はしない方向でやらせて頂きたく。まずは文化的勝利を狙います」
「「「「「??」」」」」
「ゲームと経済で」
「「「「「!」」」」」
少なくとも次の隕石まで1ヵ月ある。この1ヵ月で、隕石撃つ余裕もなくなるくらい、魔王国をしっちゃかめっちゃかにかき回してやる!
「陛下、金銀財宝を出しちゃいけないってルール……魔王国内ではカンケーありませんよね?」
手から精巧な金細工をじゃりじゃり生み出す私に対して、陛下が意地悪気に微笑んだ。
「無論じゃ」
ってことで金銀財宝無限生産と
「あっ、じゃが待て!」
おっと、次週への『引き』を入れたと思ったら陛下に止められた。
「とりまここに【セーブ】ポイントをひとつ置いておけ!」
「ははっ! 【ふっかつのじゅもん・セーブ】!」
っていうか陛下も相当、私の喋り方移ってるよね。
「また、数日に1回はフェッテンに報告を入れること! 深夜24時ぴったりに1秒程度なら、『魔の森別荘』に入ることは十分可能だろう?」
「承知致しました」
フェッテン様成分が補充できるのは私としてもうれしいことだから何ら問題なし。
「あとは……魔族をむやみに強化しないように」
「……へ?」
「ただでさえ浮浪児や浮浪者に甘々な上に、敵の軍勢ですら無殺生で収納してしまうそなたじゃ。『浮浪児可哀そう』なんぞと言って、むやみにレベル100の敵国国民を量産するでないぞ……? と言ってもどうせそなたはやるじゃろうから、せめて従魔化するか【契約】で縛るように!」
「あ、あははは……」
ひ、否定できない……。