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ウルトラマン

「ベムラー逃走中。宇宙警備隊に告ぐ。追跡を開始せよ」

 M78星雲の光の国からウルトラマンに対して出動命令が発令された。

「父さん。行って参ります」

「うむ」ウルトラの父、ケンが頷いた。

「気をつけるのよ」ウルトラの母のマリーが優しく声を掛けた。


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 怪獣ベムラーは青い球体となって小さな青い星に突入して行った。

「あれはどうやら地球という星らしい」

 赤い球体となったウルトラマンは、青い球体にぴったり追尾していた。そのとき、ふいに横合いから小型のジェット機のようなものが現れた。

「ちょっと待て!」

 ドカン!

 ジェットビートルと赤い球体が衝突事故を起こしてしまったのだ。

「やっちまった」

 ビートルの乗組員は即死だった。

「悪い。ごめん。どうやらこの人も平和を守る仕事をしていたようだな。父さん聞こえる?事故を起こしてしまったよ」

“状況は分かった。これはお前の責任だ。その男を助けてやりなさい”

「了解です。しばらく星には帰れなくなりますがよろしくお願いします」

“宇宙警備隊には報告を入れておくから心配するな”

 ウルトラマンは自分の命を死んだ男に分けて与えた。すでに死んでいた25歳の身体の中に、2万歳のウルトラマンの魂が注入されたのである。


 ここからウルトラマンと怪獣たちの長い死闘が始まったのであった。


※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※


 男の名前はハヤタと言った。ハヤタ隊員の身体を借りたウルトラマンは、人間の映画が大好きだった。その日もジェームスディーンの『理由なき反抗』を観た。

「おお!かっこいいじゃないか。これで行こう」

 怪獣と闘うときの前傾するファイティングポーズをジェームスディーンからパクったのだった。


 ハヤタは怪獣が出ると、急いで隠れる物影を探した。ウルトラマンに変身するためだ。

 テレビでは映せなかっが、その場で全裸になってからベータカプセルを点火した。そうでないと、40メートルのウルトラマンに変身したときに服がすべて破けてしまうからである。

 ウルトラマンは人間の言葉を話せない。発するのは掛け声だけである。しかし人間は身振り手振りで意思疎通を図るすばらしい方法を考案した。故郷のM78星雲に帰ったら仲間達に教えてあげよう。

 それがこれだ。

「手話!」

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