時として人間は画期的な発明をする。わたしもそのひとつであると自負している。
近未来的お掃除ロボット『ウ~・マンボ』である。
ありとあらゆるゴミ、バイ菌を除去するのがわたしの仕事だ。
「マンボ、寒気がする」
「マンボ、水をお願い」
「マンボ、お粥が食べたい」
「マンボ、熱を測ってちょうだい」
お掃除ロボットは、つきっきりでご主人様の身の回りのお世話をする機能を持っている。そしてもちろんご主人様にまとわりつくゴミや菌を日々除去しているのである。
そう、わたし達のおかげで、菌がめっきり減少した。そのおかげで人間は菌に対する抵抗力を失ってしまった。
最近の新機能といえば、排出口から“超小型マイクロ・ロボット”を多数輩出して、人間の体内の掃除までしてしまうという念の入れようだ。
“そうだ、そろそろ充電しなければ”
充電器でひと息ついたとき、わたしはいつも感慨深く思ってしまう。この世からバイ菌の巣窟をすべて除去してしまったという、一抹の寂しさからだろうか。
そう、今は人間がこの世にひとりもいないのである。