目次
ブックマーク
応援する
3
コメント
シェア
通報
エロスの神様

 その日ぼくは、“エロスの神様”と出会ってしまった。

 なぜ出会ってしまったのかと言うと・・・・・・詳細は言えない。と言うより、偶然口にした言葉が、エロスの神様を召喚する呪文だったらしいのだ。だから、二度とその呪文を唱えることはできなかった。

 なぜそれがエロスの神様だとわかったかって?そりゃ胸に『エロスの神様』と書いてあったからだ。

 男とも女ともわからぬ、サイケデリックな風貌の神様は言った。

「お前に何かひとつ、願い事をかなえてしんぜようぞ」

 とっさに心に浮かんだことが、口をついて出てしまった。

「・・・・・・いい女を見て興奮したら、身に着けている物が透けて見えるようにしてくれ!」

 そう、ぼくは生粋のエロなんだ。


 その日からぼくは、いい女達のプロポーションを、思う存分楽しむことができるようになった。でも、あるひとは人知れずお腹が出ていたり、グラマーだと思っていた女性が、実際には胸の起伏がほとんどなかったり・・・と、理想のプロポーションの女性が意外と少ないことに気がついたのである。

(ぼくってほんとエロだよね)


 そんなある日のこと、理想のプロポーションを持つ女性と知り合った。

 それからは寝ても覚めても、もう彼女のこと以外は考えられなくなってしまったのだ。ぼくは思い切って、全身全霊を込めてプロポーズした。結果、ぼくたちは幸せな新婚生活を築くことができた。

 でも、後悔する毎日だ・・・・・・なぜかって?

 ぼくは毎晩“ガイコツ”を抱いて寝ることになってしまったからさ。

コメント(0)
この作品に、最初のコメントを書いてみませんか?