「ひとりで俺を抑えられるとでも?」
「大した自身だね。見たところ、それほどの念動力が扱えるとも思えないが。」
相当な修羅場を潜っている。
そう感じた。
年齢は俺より少し上だろう。金髪碧眼で見事なクィーンズイングリッシュを話すところを考えると、イギリス出身である可能性が高い。
頭部が小さく、細身でプロポーションも抜群のイケメンさんだ。なぜ荒事に従事しているかは、やはり能力を保有しているせいだろう。
堂々とした立ち居振る舞いに隙のない目線。
この場をクリアするのに、かなり手こずりそうだった。
「ずいぶんと自信がありそうだな。だったら、ハンデに何の能力を使うか教えてもらえないかな?」
ダメもとでそう言ってみた。
「必要ない。君はすぐに無力化される。」
冷たい返答があっただけだった。
「そうか。」
刹那、
同時に横へと動き、左手にもスミス&ウェッソン M&Pシールドを握り込む。
相手の胴体部分を狙った初弾がなぜか跳ね返った。
動じずに二丁拳銃による連射を加える。
9mmパラベラム弾、かつフルメタル・ジャケット仕様の弾丸は、装弾数と貫通性能に優れている弾薬だ。ホローポイント弾ほどの殺傷能力はなく、スミス&ウェッソン M&Pシールドのように装弾数が7~8発の
スミス&ウェッソン
そのため、装弾数やマンストッピングパワーという火力よりも、高剛性なフレームと高い精度が求められた。ポリマーフレームによる軽量、コンパクトさとの両立を実現した優秀な銃だともいえる。
その反面、今のような状況では火力に乏しい。
もとより、警察も軍隊でも火力が必要であれば、サブマシンガンなどの拳銃以上の銃器で補填すれば良いのだから仕方がない面でもある。
ゆえに、銃弾をばら撒き、相手の能力を読み取るために使った。
右手のスミス&ウェッソン M&Pシールドを撃ち尽くすと、マガジンを排出して銃把から手を離す。
瞬時に左脇のマガジンポーチから予備のマガジンを取り出し、右のスミス&ウェッソンM&Pシールドが自重で落ちる前にマガジンを叩きこむ。
銃の
もちろん、その間にも一ヶ所に留まらず、絶えず相手の死角に入るように移動を繰り返した。