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第23話

気を取り直して、運転席の男を外に引っ張り出す。


続けて助手席側に回り、もうひとりの男から同じように銃を奪った。こちらは予備のマガジンを持っていない。人によって装弾数や予備弾倉の有無の違いは何なのだと思いながらも、銃身をよく見て一瞬凍りついた。


これまでの2丁とは異なるモデル。


グロック G47。


何が問題かといわれれば、G47は民間向けにはリリースされていないLEモデルだということだ。


グロックの拳銃はFBI専用モデルの19Mを始め、正式採用している軍や司法機関が世界各国に存在する。しかし、このLEモデルというものは、LawEn行機関forcement専用モデルである。アメリカの税関国境警備局CBP やシークレットサービスなどで採用されているのが有名だ。


そしてここで重要なのは、ODS社と関わりのある者がそのグロック G47を所持しているということである。


民間には販売されないLEモデルがここにあるということは、アメリカの企業であるODS社が米国の法執行機関と関連する企業だという可能性が高まるのだ。


スミス&ウェッソン M&Pシールドも似たようなモデルだが、こちらはスポーツシューティングの世界でも普及しているため少し意味合いが異なる。


法執行機関といっても様々である。場合によっては情報機関が法執行機関との関連性を見せかけるために所持させている可能性すらあった。


何にせよ、俺は敵に回してはいけない組織を相手取ってしまったかもしれない。


グロック G47をズボンのベルト部分に差し込んだ。スミス&ウェッソン M&Pシールドと同じ9✕19mmの弾薬を使用しているが、ジャムった弾詰まり時にサブとして使える。


それに、これを持ち帰ることでODS社が普通の企業ではないことも主張できるだろう。まあ、もともと知っていた可能性の方が高いのだが。


念のためにグロック G47のセーフティがかかっているかは二度見しておく。これで暴発したら、俺は男性としての機能を失ってしまうからだ。


そのまま男を外に放り出す。


天井の一部分に狙いをつけて、スミス&ウェッソン M&Pシールドの引き金を絞る。1発目で目的を達した俺は、助手席側から車に乗り込んで萎んだエアバックを邪魔にならない程度に片付けた。


先ほどと同じようにエンジンをかけ、再び外に出て地面に転がしておいたひとりを引きずってドアが外れた方の車に放り込んでおく。





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