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第18話

フルメタルジャケットの弾丸だったせいか、着弾した後に跳弾となる。


車のボンネットで弾かれた弾丸が刹那に火花を放った。古い建物のせいか、地下の至る所に照明が行き届かない所があったが、その一瞬で敵の位置が判明する。


すぐに狙いをつけて、そこにいる男の肩を撃ち抜いた。


殺傷沙汰は初めてではないし、銃の扱いもそれなりに身につけている。


表面上、戦闘には向かない能力者の俺にとって、そういった技術は生きるために必要だった。


また嫌な気配を感じた。


視線を彷徨わせることなく、近くにあった車の反対側へとダイブする。ボンネット上で体を滑らせている途中に衝撃波が来た。


車体の片側が少し浮くほどの威力だ。


傾いた車体が俺を弾き飛ばす。


咄嗟にフロントガラス横のAピラーを掴むようにして、体が浮く勢いを殺した。それでもしっかりと掴めるはずもなく、地面に背中から落ちて激痛を感じる。


受け身をとったことで立ち直りは早い。


上体を起こして、車のサイドガラスを銃把で叩き割る。ロックを外して中へと入り、運転席に座った。警報音が鳴っているが無視してブレーキを踏み、左手でインストルメントパネルに触れる。


大抵の車はインストルメントパネルの裏側に、スマートキーからの信号を受け取る受信部があった。能力を使ってその信号を読み取り、プッシュスタートボタンでエンジンをかける。


本来ならばスマートキーがなければエンジンの始動はできず、始動できたとしても車から離れると警告音が鳴り響く。しかし、そこは能力でコンピューターに錯誤を起こさせることで、無理矢理打開してしまう。


シフトをドライブへ入れて、電動パーキングブレーキを解除する。アクセルを踏み込み逃走を計った。


5メートルも進まないうちに横から衝撃波が来る。


生身で動くよりも車内の方が安全だろうと考えたが、その分だけ標的としては大きい。当然、狙われるものだと考えていたのだが、今回の衝撃波はこれまでとは比較にならない威力だった。


一瞬で車が横転し、そのまま車の底面に圧がかかり吹っ飛んだ。


おいおい、どれだけ派手にやらかすんだ。


頭の中ではそう冷静に考え、この後の展開について頭をフル回転させる。


このまま壁に叩きつけられると、ルーフが潰されて圧死するかもしれない。わずかな時間でそう考えてリクライニングレバーを引き、シートの背もたれを倒した。


結果は途中でフロント部分が柱に接触して、車が横倒しになったまま回転するというまさかの事態となる。




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