湊音は李仁の帰りを待つ。鼻歌まじりで微笑みながら台所で料理を作る。
メールでもうすぐ帰るとの連絡にさらに心踊る。
「ただいまー」
もう帰ってきたのか、あっという間だと思いながらも声のする玄関へ向かう湊音。
「おかえり、李仁」
「すごく機嫌がいいね」
李仁は笑う。そんな彼は何か後ろに隠している。
「だって結婚記念日じゃない……」
「だよねぇ」
と李仁は靴を脱いで鞄を置き湊音の前に跪く。そして後ろに隠していた花束を差し出した。
「ミナくん……」
「はい」
2人は照れる。いつもは背が高い李仁が湊音を見下ろすが今日は違う。
「愛してます」
「僕も……愛してます」
「……やっぱり恥ずかしい」
花束に顔をうずめる李仁。
「男らしいことするの恥ずかしいわ」
「照れてる李仁可愛い」
「もぉおおおおー嫌ぁっ!」
李仁は顔を真っ赤にする。
湊音もしゃがんで花束ごと李仁を抱きしめる。
結婚する時、2人は同性同士乗り越える壁が人よりも多い、共に乗り越えようと誓った。あれから数年、確かに色々あったし、喧嘩もしたし、湊音も病み仕事を辞めた。でも2人は手を離すことはなかった。
「あいしてる、李仁」
「わたしもよ、ミナくん」
2人の結婚生活、まだまだ続く。