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第15話 我に秘策アリ!(不安しかありません……)

 中庭の演説から1時間。


 俺とアリアさんは再びおティムティムのマッポに乗って珠子の祠へとやって来ていた。




「タマちゃんさん、何故またココに?」

「いやちょっと、確認したい事があって。おーい珠子ぉ~っ! 居るかぁ~?」




 こんな事をしている場合じゃないだろうに……と視線で訴えて来るアリアさんを無視して、祠に向かって元気よく声をかける。


 数秒遅れて謎の光と共に、金色に輝く猥褻物がポンッ! と俺達の前に再び姿を現した。




「呼ばれて飛び出てジャジャジャジャーン♪ みんなのアイドル珠子、登☆場♪」

「よし珠子、居たな。時間も無いから単刀直入に聞くぞ?」




 珠子の茶番を華麗にスルーしつつ、俺は本作戦における最重要懸念けねん事項を空飛ぶ猥褻物に尋ねた。




「今、学院に向かっているパリス・パーリ帝国の兵の中で女性兵士は居るか? 居るとしたら何人居る?」

「何故そんな事を聞くんですか、タマちゃんさん」

「女性が居たらこの作戦はほぼ成立しないからだ」

「???」




 頭の上にクエスチョンマークを浮かべるアリアさん。


 可愛い。


 結婚しようかと思った。




「女性兵士? ちょっと待ってね~ん♪ むむむむむ……ぽーん♪」




 俺がアリアさんの仕草にときめいていると、空飛ぶ猥褻物がチカチカッ! と点滅し始めた。


 かと思えば『チーンッ!』という卑猥な音がゴールデンボールから聞こえてくる始末だ。


 ほんと、どういう仕組みなんだろうコイツ?




「分かったわよ~ん♪ 兵士ではないけど、女性は1人居るわね~ん♪」

「1人か……よし、許容範囲内だ」

「おっ? しかもこの女性、例の勇者たまのタマタマとお姫ちゃんを狙っている一味の1人ね~ん♪」

「そいつは朗報だ! なら死んでも問題ないな!」

「笑顔で恐ろしいことを言ってる……。タマちゃんさんは一体ナニをしようとしているんですか?」

「その質問に答える前に、もう2つほど俺から珠子に質問がある」

「今度はな~に♪」




 水晶使いが荒いお人ね~♪ と口にするタマタマに俺は尋ねた。




「帝国の奴らはどっちの方角から来る?」

「それはね……アッチ~♪」




 ピカーッ! と目からビームを出す珠子。


 相変わらずどういう原理で光っているんだろうか?


 なんて俺が大秘宝ワ●ピースの中身を気にしていると、隣にいたアリアさんが口をひらいた。




「南東の方角ですね」

「南東か……分かった、ありがとう。さて、ここからが本題だ」

「もう今度はな~に♪」




 俺は空飛ぶ猥褻物に、本作戦の要とも言える重大な質問をぶつけた。




「俺の1日1回使える魔法は『どこまで』自由に使える?」

「んん~?『どこまで』とは?」

「例えば、想像した生き物を具現化させる事は出来るのか?」




 本当なら自分で見つけ出さないといけないルールなのだが、時間がない。


 ここは全てを見通す金色水晶様の力を借りて、少々ズルをさせて貰おう。


 俺の意図が分からず「???」と小首を捻るアリアさん。


 可愛い。


 あとで抱きしめてやろうと思った。




「もちろん出来るわよ~ん♪ 勇者たまの魔法はカエル族が使う魔法とは一味も二味も違うんだから~♪」

「なら、コイツを召喚させる事は出来るか?」




 俺は空飛ぶ猥褻物の耳元(どこが耳なんだ、コイツ?)まで唇を持っていき、とある『計画』を口にした。


 珠子は「うんうん♪」と頷きながら「なるほど~♪」とピカピカ目を光らせ始めた。




「流石はお姫ちゃんが選んだ勇者たま! イカれ具合が歴代の勇者たまをブチ抜いて、ぶっちりぎの1位だわ~ん♪ もう頭のネジが股間にぶっ刺さっているとしか、珠子思えな~い♪」

「へへ……♪ 褒めるな、褒めるな」

「いえ……どちらかと言えば、けなしていると思いますよ?」

「なんだとキ●タマぁ!?」




 ガシッ! と空飛ぶ猥褻物を両手で掴み、上下に激しくシェイクする。


「いや~ん♪ 珠子に乱暴する気ね? エロ同人みたいに、エロ同人みたいに♪」と声を弾ませるゴールデンボール。気持ち悪い……。


 一体ナニを期待しているんだ、この猥褻物は?




「まぁいい。それよりも、だ。さっき俺が言った奴は召喚出来るのか? どうなんだ!?」

「んん~? 勇者たまの想像力に左右されるけど、おそらく出来ると思うわよ~ん♪」

「よし、その言葉が聞ければ充分だ!」




 これにて勝利への方程式は整った。


 あとは時間との勝負のみ。




「さぁ、楽しくなってきやがった! 次へ行こう、アリアさん」

「つ、次って?」

「帝国が進行してくる予定のルートへ行くんだよ」

「えっ!? ど、どうして!?」




 危ないですよ!? と目を見開くお姫様に、俺は勝利を確信した笑みを頬に貼り付けながら「まぁまぁ!」と彼女の肩を叩いた。




「そう言わずに。ちょっと準備をしに行くだけだからさ」

「準備?」

「そう、準備」




 コテンと首を傾げる彼女に俺はハッキリと言ってやった。




「3日後は最高に楽しいショーが見られるハズだぜ」

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