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第5話 デート③

 一時間が過ぎ......。


 ナゴムはうっすらと感動さえしていた。


(しおりさん。写真以上にカワイイうえに、マジで性格もサイコーだ!)


 天使だ!

 マチガイない!

 このヒトは女神だ!


 ......地元がイヤで飛びだして、はや上京して三年目......。


 妖の俺でも、東京に行けば、バレないかぎり俺を妖だと知っているヒトはいない。

 きっとステキなヒトとの出会いもいっぱいあるだろう!

 というアマイ考えはすぐに打ち砕かれ......今の今まで仕事に追われる毎日。


 そんなときだ。

 会社の先輩から教えてもらったマッチングアプリ。


 最初、俺はそういう出会いには抵抗があった。

 というより、なんとなく信用していなかった。


 しかし、先輩はそこで今の彼女を見つけたんだとか。

 さらに、先輩の友達はマッチングアプリで出会った彼女と、ついにゴールインしたという。


 先輩は、

「まあ、なにごとも経験だ。イヤになったらすぐにやめりゃイイ。気楽にやってみなよ」

 と、かる〜く俺の背中を押した。


 社会人になってから出会いという出会いがなかった俺。

 先輩にその気にさせられたっていうのもあるけど、やってみる価値はあると思った。

 俺は期待と不安に胸ふくらませ、マッチングアプリをはじめた。


 ところが、いざ始めてみると.....。.


 これがなかなかそう簡単にはいかなかった!


 マッチングアプリとか言ってるわりに全然マッチングしないじゃないか!

 いくら〔いいね〕を送っても全然マッチしないじゃないか!

 俺は恋のマッチ売りの少女か!

 いい加減だれか買ってくれ!


 などと、ひとりスマホをいじりながら騒いでいた。


 だが、俺ももう社会人三年目の営業のはしくれ。

 しかもマーケティング業界に身をおくセールスマンだ。

 このまま何も成果をあげられずに終わるなんて許せるはずなかった!


(山田和はムダにストイックだった)


 そうだ。

 俺は恋のマーケティングを駆使して、愛の契約を勝ちとるんだ!


 そこで、俺はネットで片っぱしから情報を集め、先輩からもより実践的なアドバイスをもらい、基本的なことから改善していった。


 プロフィールの充実。他撮りでのイイ感じの写真のアップ。コミュニティ選びから趣味の魅せ方。毎日のログイン。日々のつぶやき。日々のいいね活動。etc......


 もちろんメッセージのやりとりに発展したときは、顧客相手のそれ以上に最新の注意を払って行った。

 そして何度も失敗を繰りかえしながら分析・改善・計画・実行し......

 ついに、天使&女神のような〔しおり〕さんとのお食事デートまでこぎつけたんだ!


(ここまで来たら結果を出したい!この出会い、モノにするんだ......!)

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