「「いてててて」」
「ん? 右京近、左京近、どないしたん?」
静子は管狐たちが体をさすって痛がっているので怪訝に思った。
「いやまったくひどい目に遭ったぜ。俺は頭を数発殴られた」
「ほんとほんと。ひどい目だった。俺は飛び蹴りを喰らったぜ」
左京近と右京近がそういうので静子は驚いた。
「ええ? それ、ほんまどすか? あんたらに殴りや蹴り入れられるもんなんか、そうそうおらんやろ?」
「それがいたんだな~」
「俺たちもまさかと思ったぜ」
「いや、あんたらはうちの家が誇る管狐界最強のペアやで。それなりの闘神かてあんたらふたりには指一本触れられん程やで?」
「そうだな。あいつはそれなりの闘神以上ってわけだ」
「ああ。あれだけ力が薄れてあの強さだ。力を取り戻したら、どれくらい強いのか想像もできないな」
「そ、そんなに強い荒神なん?」
静子の問いに、2匹の管狐は神妙な面持ちで頷いた。
「「ああ。今思ったが、あの神の存在は忘れられたんじゃなくて、強すぎて手に負えないから、わざと廃れさえたんじゃないだろうか? だとすると……」」
「だとすると……?」
「「あの神視巫女はとんでもない神をお救いしてしまったかもしれないな……」」