「
「
あのね。由佳。大変なことになっちゃったかも」
楓は今にも泣き出しそうだった。
「ど、どうしたの?」
「神様がいなくなっちゃった…」
確かに
今朝になったら神様が戻られているのではないかと思った由佳の期待は、叶わなかった。
「そうね…。確かに神様はいなさそうね。
でも楓、どうして楓も神様がいなくなったってわかるの?
私が昨日、神様がいなくなるかどうか聞いたから?」
そういわれて楓はゆっくりを首を左右にふった。
「違うの、由佳。あのね。今まで黙ってたけど、実はわたしも神様が《視える》の…」
「…えっ? …えっ? ええぇ~!?
か、楓も神様が《視える》のっ!?」
楓は静かに、コクリと頷いた。
「由佳も《視える》んでしょ? 知ってた。由佳に出逢ってすぐに気付いたよ。あ、この子も《視える》子だって」
「そ、そうだったのっ!? それなら一言いってくれたらよかったのに…」
「由佳が≪視える≫ことを秘密にしていたそうだったから言わなかったの」
なるほど、と由佳は思った。
確かに楓は気遣いができて「空気を読む女」だった。
「昨日、わたし、神社の掃除をサボったの。だから神様がいなくなっちゃったのかも」
「そうだったの…。でもどうして昨日はサボったの?」
「朝来たら誰かが掃除をしてくれてた跡があって、だから今日はいいかな~って」
由佳はしまったと思った。
「ごめん。楓。それ私。
一昨日、私が神社の周りを掃除したの」
その言葉に楓は驚いたようだった。
「え? 由佳だったの? 私はお父さんか、お爺ちゃんか、もしくはお兄ちゃんかと思ってた。
じゃあ、由佳。この箒を使ったの?」
由佳は「うん。使ったよ」と頷いた。
「…重かったでしょ?」
楓は恐る恐る訪ねてきた。
由佳は不要な気遣いは、かえって楓の気がかりを増幅させると思い「うん。すっごく重かった」とはっきりと答えた。
「じゃあ、どうして私がこんなに軽々とこの箒ほうきが持てるか気になるよね?」
その理由は神様から教えてもらっていたが、由佳は知らないふりをして「うん。気になる。どうしてなのか教えて欲しい」と、こちらもはっきりと返事をした。
「よー。何の話?」
そこに
その後ろには
「あれ? ふたりとも苗蘇神社にくるなんて珍しいね」
「昨日、由佳が神様がいなくなったって言っていただろう? そのことが気になったので私たちも様子を見に来たんだよ」
「通学路からこっちをみたら、ちょうど由佳たちがいたしな。
で? 何の話?」
「えっと…それは…」
由佳はどう返答しようかと迷ったが、そんな由佳をよそに楓があっさりと答えた。
「神様がいなくなったことについて話してたの」
「あー。やっぱり、その話か。いつも
叡斗は後ろ頭に手を組んでさらりといった。
「えっ? 叡斗って御社の上に猫がいたのが≪視えて≫いたのっ?」
「ああ。≪視え≫てたよ。最初、あの猫が神様だって気付かなかったけどな」
事も無げな様子で叡斗が言ったが、由佳はとても驚いた。
「な、なんで叡斗まで…っ? どうしてっ? いつからっ?」
「ほら、この間、オレってふたつめのギフトがあるかも~?って言いかけただろ?
あれは
「そ、そうだったの…?!」
「ああ。オレも驚いたけど、あの猫は神様だったんだな。岩倉と木野と一緒に神社に来た時に、ふたりは猫が≪視え≫ないっていうから気付いたんだ。
オレは他の神社でもそういうの≪視て≫たんだけど、そういえばそのことについて誰も何もいわないな~って思ってたんだけど、別に特別な事じゃないから誰も何も言わないんだってなんとなく納得してたよ」
由佳は膝から崩れ落ちそうになった。
叡斗のあまりのノリの軽さに拍子抜けしたのと、自分以外に狗巻、楓、それに叡斗までもが神様が≪視えて≫いたことが衝撃的過ぎたのだ、
「ま、まさか静子……あなたもそうじゃないでしょうね……?」
由佳にそう言われて、静子は明らかにギクリとした様子だった。
「…え、え~っと…。あ、あははは…。もうこうなったらばれてしもうたも同然やね」
静子も観念した。
「うちも≪視える≫んよ。由佳、今まで黙っててかんにんやで」
ついに由佳はその場にばったりと倒れてしまった。
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今回のお話はどうでしたでしょうか?
(,,•﹏•,,)ドキドキ
さあ、こっからジェットコースターが走り出すように物語が展開していきますよ~!
(๑•̀ㅂ•́)و✧
皆さまに「面白い!」と思っていただけるよう頑張ります୧(˃◡˂)୨
私の小説を読んでいただきまして、本当にありがとうございました。
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