翌朝、
「おはよう、狗巻。今朝は早いのね」
狗巻の周りには鬼や式神が集まっていて、足や腕にたくさんがみついていた。
両肩や頭の上にも、こぼれ落ちそうなくらい乗っていて、もし狗巻が鬼や式神を《視る》ことができていたら、今はとても鬱陶しいだろうなと由佳は思った。
「由佳、様子が変だ」
このセリフはまさか昨日の続き?と、由佳は一瞬思ったが、狗巻の真剣な表情に、ただならぬ何かをすぐに感じた。
「どうしたの? 何が変?」
自分の体を覆わんばかりに鬼や式神がまとわりついているので、彼らの姿が《視え》なくとも、何かを感じているのだろうか?
由佳がそう考えてしまう程に、狗巻には鬼や式神がたくさんしがみついていた。
その時、由佳は気付いた。
よく見ると鬼や式神たち全員がとても怖がっていて、震えていた。
表情も不安気で、今にも泣き出しそうな表情だった。
実際、べそをかいている鬼も数匹いた。
彼らの様子は明らかにおかしかった。
いつも無邪気に境内で遊んでいる彼らとはまったく違っていた。
彼らは由佳と目が合うと、全員が一斉に
その手は可哀そうなほど震えていた。
由佳は御社を確認したが、別段、変わったところはなかった。
壊れたり、壁や柱に落書きをされたりといったこともなかった。
しかし、確かにいつもと違う違和感があった。
「なんだろう、狗巻。確かに何かがいつもと違う。様子が変ね」
狗巻は黙って頷いた。
そして由佳は、すぐにその違和感の正体に気付いた。
「…あっ…!!」
由佳は声をあげて絶句した。
それは昨日に引き続き、驚くべき事態だった。
「神様がいない……」
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私の小説を読んでいただきまして、本当にありがとうございます。
皆さまに「面白い!」と思っていただけるよう頑張ります୧(˃◡˂)୨
狗巻の身体にまとわりついている鬼や式神の大きさは10cmくらいと考えています。
350ml缶くらいをイメージしてるんですが、意外と大きいですかね?それとも小さいかな?
ウ~( ˘•ω•˘ )~ン
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