選手として将来を有望視されていたが、由佳が高校に入学してまもなく───
顕乗も周囲も深い悲しみと絶望を味わったが、顕乗はそれでも自分を失わず、2年かけて足の治療とリハビリを行い、日常生活に支障が出ないまでに回復していた。
高校を卒業してからは母親が趣味で開いていたカラオケ教室を拡大して「ワンフィールド」をオープンさせ、さらに
「由佳ちゃん」
由佳の頭の中で思考が急速に回転を始めた。
顕乗が1万円のお賽銭をいれた人である可能性が出てきたからだ。
「由佳ちゃん」
「おなじくらすの」というのは高校のクラスではなく、ワンフィールドのリーダークラスのことだったのか?
「由佳ちゃーん」
顕乗なら1万円をお賽銭箱に入れる財力があるかもしれない。何せワンフィールドの店長にして実質的なオーナーなのだから。
でもしかし、もし顕乗なら「じぶんのおもいがきふねゆかに」というのは、それは一体どういう意味で───
「おーい。由佳ちゃんってばー」
「ふぇっ?!」
またもや由佳は素っ頓狂すっとんきょうな声をあげてしまった。
「……あー…。ごめん。やっぱり疲れているよね? 面接の話はやっぱりなしにして───」
「あ! いえ! すみません! 大丈夫です! ごめんなさい!
あ、あの……! 面接にはちゃんと同席しますので、また日時が決まったら連絡下さい!
それじゃ、今日は失礼します! さようなら!」
由佳は逃げるようにワンフィールドを後にした。
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今回のお話はどうでしたでしょうか?
(,,•﹏•,,)ドキドキ
友達のお兄さんとか、弟くんってシチュがいいですよね~(*´﹃`*)
軽くそんなフェチズムをさらしてしまいましたが、それはさておき───
もしよろしければご意見ご感想などをいただけますと幸いです。
誤字脱字などのご指摘もありがとうございます。
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