「お前は、龍の子か?」
甘羅さんは土蜘蛛から術をといて訝しそうに少年に問いかけた
「いかにも、私が次代の水龍の座を継承する龍の子、暁と申します、しかしそれも今では危うい状態ではありますが……」
彼、暁と名乗った龍の子は子供とはいえ流石高位のあやかしである龍だと言わざる終えないほどの荘厳さがあった
しかし表情は何か思うところがあるのだろう芳しくない様子である
「状況からして、密輸にあったとかそういうのでは無さそうだな、それなら早いところ蒼緋の元へ戻ってくれないか? あいつ相当怒ってて手が付けられない」
とりあえずは生きていて一安心というようにため息を吐くと甘羅さんは送っていくからと付け加えた
「それが、そうも言っておれない状態なのです、私は龍の子、少しですが先見の明が利く、この先の未来世界が揺るぐ乱戦が巻きおこるでしょう、私はそのことを羅刹様にお伝えする為に――」
「壁!!」
暁くんが言い切るその前に甘羅さんは暁くんの手を掴んで思い切り引き寄せ自分の後ろに隠すと慣れた手つきで札を素早く取り出し術を発動させた
ドゴォンッ!!
地面が揺れるほどの衝撃にもかかわらず目の前に大きく展開された壁はびくともする様子はなかった
土埃が晴れた頃、目の前に現れたのはとてつもないサイズの巨鳥
「……フーリンカムイっ!?」
私は間抜けな声をあげて後退りする
今回ばかりは間抜けな声をあげたことを責めないでほしい
何故なら、このあやかしがもし本当にフーリンカムイであり、もし敵意があれば、私達ではどうすることも出来ないほどに、強大な敵となるからだ