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7話 増える謎

 その後は顔に怒りの色をにじませながらしてくる兄様達の嘲りを甘羅さんはガン無視してその場を後にした

 このまま局まで帰るのだと勝手に思っていたが甘羅さんは特に迷うでもなくそのまま帰路とは違う道を進みはじめた

「あの、甘羅さん、これは何処へ向かっているんですか?」

 痺れを切らしてせっつくと返事を返してくれたのは月さんだった

「これから龍の子を探しに行くんじゃよ、まぁ行くといっても主人にはもう場所はわかっとると思うがの」

「……毎回そうですが甘羅さんは何故こう、ピンポイントであやかしの出現場所がわかるんですか?」

 私はずっと疑問に思っていたことを話の流れで聞き返すと今度は甘羅さんじきじきに答えてくれた

「んー、なんてーの、オレは人よりそういう霊力とかに関する察知能力が高いから、大きな力なら大体場所も検討がつく、今から行く場所は、禍月の山、まぁ中級以上のあやかしがゴロゴロいる場所だけど心配するな、オレが花持たせてやるから、今回予定どおり行けばあんな奴らの鼻っぱしら簡単にへし折れる、ざまぁないな」

 禍月の山といえばここら辺では有名な人間に大して敵対している魑魅魍魎の住み家である

 そんなところに今から強制連行されるのははっきりいって恐怖以外の何者でもない

 だがどうにも未だに先ほどのことを根に持っているようでいつも無表情な甘羅さんの顔は嬉々としていた

「あの、怒ってくれることは嬉しいんですけど、なんでそこまで怒ってくれるんですか? いっても出会ってそんなに経ってないじゃないですか」

 私が御霊陰陽局に所属するようになってから長くて1ヶ月と少し

 そこまで深入りしてもらえるような間柄にはまだなっていないと思うのだが

「いや、お前のためってのもあるけど、今の継千帝のありかたが気にくわない、まぁ前から思ってたんだけど、昔は自分から見た弱者の尻は叩けどあんな風に嘲笑するようなことをする家じゃなかった……筈なんだよなぁ、一体どこで堕ちたのやら……」

 最後のほうは私への返答というよりも自問自答に近かったと思う

 だが少なくとも私が幼少の頃にはあの家のああいう体制は既に完璧に出来上がっていた筈

 一体甘羅さんはこの見目で何歳なのか

 結果としてはまた一つ、甘羅さんの謎が増えただけに終わったのだった


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