目次
ブックマーク
応援する
2
コメント
シェア
通報

第5話

  時系列で教えてもらう必要がある。

 たぶん、感情が混ざれば混ざるほど時系列がズレてしまうだろう。

 昨日今日の記憶でも、たとえ一時間の誤差でも、たいへん大きな違和感の元になる。

 一分一秒なんて、たいした差じゃないよと言う人もいるけれど、それは「その人にとって、たいしたことない」というだけのこと。

 当事者にとっては、一秒のズレが異次元放出の切欠きっかけとなる。

 ゆめうつつのどちらかに加担するのではなく、その両方どちらも顕現けんげんするから手に負えない。


 だからせめて、おれは嘘で防御する。

 相手を傷つかせるためなんかじゃない。

 自分を防御しきれるものでもないから、心はかすり傷くらい負うだろう。

 おれの嘘は、流れを穏やかにするためのもの。相手との会話の流れ、相手から聞き出したい情報をご本人のくちから流暢りゅうちょうに語ってほしいからこそ、おれは嘘をつく。



この作品に、最初のコメントを書いてみませんか?