命の宿っていないはずの
顔を炎のように真っ赤にして憤激している主人とは対照的な程に静かな、されど刺すように鋭利な明確な敵意でもって、アンジェラの方を見据える狼。対峙する両者の間には、これまでの物とは比にならないほど張り詰めた空気が漂っている。
刹那、狼が咆哮をあげると共に、焔そのものである
「
アンジェラは咄嗟に水属性呪文を唱え、焔の狼の迎撃を試みる。しかし彼女の青い光線はその焔の皮膚になんなく阻まれてしまい、その突撃を妨げるには不十分であった。
「
アンジェラが矢継ぎ早に次弾を放つものの、刻すでに遅く狼はアンジェラをその間合いに捉えていた。
決闘用ローブとやらがどの程度ダメージを軽減してくれるのか。親友の身の安全をまだ実際に使ったことも見たこともないそれに委ねるのはあまりにも心許なく、ルイーザは審判の役目を放棄して杖を取り出す。
「
アンジェラの身の安全を守るため、ルイーザは自分の知っている防御魔法を咄嗟に唱えようとする。
「おいおい、勘弁してくれよ・・・・・・。こんなところで”反射呪文”なんか使われたら、校舎で
するとルイーザの後方から、聞きなじみのある飄々とした声が聞こえた。その声の主は気配も無く近づいてきたかと思えば、呪文を唱えようとしていたルイーザの杖先を掴んで制止してしまったのであった。