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THE WHEEL TRACKS OF BRAZE(Ⅲ)

「随分とボロボロの呪骸しかないようだな・・・・・・?」


「す、すみません……」


 カルファーニアの研究室へと帰還したルイーザたち。労いの言葉をかけるよりも先に回収した呪骸の提出を求められたダリエントは、収集したそれをカルファーニアへと手渡した。


「まったく・・・・・・こんな黒焦げの炭じゃ何にも使えないな・・・・・・」


 手元の灰をゴミ箱へと落としながら、カルファーニアは大きな溜息をつく。


「まあフランテ君。ルーキーの君を責めるつもりはないよ。次からはやり過ぎないよう気をつけてくれ。・・・・・・問題はお前だ、ダリエント。何のためにお守りとして同行させたと思ってる?」


「い、いやー。噂には聞いていましたが、まさかこれ程までとは思わなくてですねー」


 頭を掻いて苦笑いを浮かべながらも、悪びれもせずに答えるダリエント。そんな彼を見てカルファーニアは改めてため息をついた。


「ところでカルファーニア教授。”呪骸”とは何でしょうか・・・・・・?」


「あ、ああ? 君にはまだ説明をしていなかったか・・・・・・」


 頭を掻いて面倒くさそうにしながらも、カルファーニアは説明を始めた。 


「悪魔の死骸から取れる魔力物質のことだ。一般的に強力な悪魔であればあるほど、より良質なものが取れる。君のその”車輪の杖”のように。まあ今日みたいな雑魚だとこんな灰みたいなものしか残らないがね」


 そう言ってルイーザの腰のホルダーを指差すカルファーニア。彼はさらに話しを続ける。


「私の開発している”魔道具”の作成には呪骸の力が不可欠でね。こうして露払いのついでに回収してもらっているというわけだ。もっとも最近はさっきみたいな粗悪品しか集まらないから、万年資源不足だがね・・・・・・」


 これで三度目の溜息をこぼすカルファーニア。


「そ、そうなんですね・・・・・・。以後損傷させすぎないよう気をつけます」


「ああ、そうしてくれ。君の実力の高さは今日でわかったから、また次も依頼させてもらうよ。さ、もうすぐ次の授業だからそろそろ行ったらどうだ」


 結局労いの一つもなく研究室を追い出されてしまった二人。しばし顔を見合わせて苦笑いをした後、二人はそれぞれ次の授業の教室へと向かうのであった。

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