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THE EMERGENCE OF TURBULENCE(Ⅱ)

 朝のひとときも終え、寮棟から校舎本棟までの校道を歩いていくルイーザとアンジェラ。


「あれ、掲示板がすごい人だかりだね?」


「めずらしいわね。どうしたのかしら?」


 すると、アンジェラが前方を見て指さした先には、本棟玄関前に設置された連絡掲示版の前にすし詰めでごった返す生徒たちの姿があった。


 アンジェラとルイーザも近寄って掲示版を確かめようとしたが、人だかりが壁になってしまっており、中心に近づくのは困難を極めそうだ。


「はあ、どういうことだよ!?」


「せっかくこのために準備してきたのに・・・・・・!」


 中心部の方では怒号や叫喚の声がちらほら上がっている。


「うーん、なんだか穏やかではなさそうだけど・・・・・・?」


 アンジェラはその場でぴょんぴょん跳びはねることで掲示版を見ようと試みているが、元が小柄の彼女では焼け石に水だ。


「これじゃどうしようもないわね・・・・・・。後でまた見に行きましょ?」


 なおも跳びはねているアンジェラの肩に手を置き、声をかける。気づけば一限までの時間も差し迫ってしまっている。


「ちぇー。まあしょうがないか」


 少し唇を尖らせながらもルイーザに従い、人だかりから離れるアンジェラ。


 ピーンポーンパーンポーン。


 すると、突然校舎側より校内放送のチャイムが流れた。始業まではまだ10分程度余裕がある。先程までの騒がしさが少しだけなりを潜め、生徒たち一同は放送の方へと耳を傾けていた。


「あー、生徒諸君に連絡する」


 スピーカーから流れたのはファリーニ教授のアルトボイス。普段であれば滅多に無い朝一の全校放送を受け、生徒たちの間ではにわかにざわめきが起こり始める。


「えー、これより緊急の全校集会を行なう。生徒たち一同、大至急大講堂へ集合するように。繰り返す。これより緊急の全校集会を行なう。生徒たち一同、大至急大講堂へ集合するように」


 ピーンポーンパーンポーン。


 放送の終了を告げる合図とともに、ざわめきの声は一層大きくなる。


「緊急集会・・・・・・? いったいなんだろうね、ルー?」


 アンジェラは小首を傾げながらルイーザへと問いかける。


「さあ・・・・・・? とりあえず、混み始める前に早く行っちゃいましょ」


「うん、そうだね」


 なんだか朝からてんやわんやの大騒ぎだ。二人は落ち着きの無い空気が燻る玄関を抜け、大講堂を目指して渡り廊下を早足で歩いて行った。

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