「学院を抜けて・・・・・・ですか? でも私はまだ学生ですし・・・・・・」
男の発言の意図が理解できかね、ルイーザは首を傾げる。
「ああ。我々”セイリオス”ではエクソシストの待遇改善を喫緊の課題と捉えていてね。君たちもエクソシストの現状は薄々感づいているだろう?」
男は妖狐のような含みのある薄ら笑みを浮かべながら、二人へと問いかける。
「それは……まあ……」
どう出るのが正解なのかが判りかね、ダリエントは歯切れの悪い返事で応える。
「君たちも内心思っているのではないか? こんな
「……」
二人とも返答に困り、黙って顔を見合わせてしまう。そんな二人の様子を確認し、男はさらに話しを続ける。
「せっかく最高峰とされるエクソシストの養成学校があるんだ。その力はもっと有効に使うべき・・・・・・そうは思わないかい? 例えばそうだな・・・・・・他国への抑止力としてとかね」
男の笑みは人を呑むようなものへと変わっていく。一塊の学生であるルイーザたちには何が正解なのかは判りかねたが、この腹の底が知れぬ人物には関わってはならないと本能が告げていた。
「そういうことでしたら、私には・・・・・・」
しかし、ルイーザの断りの返事は途中で男に遮られた。
「まあそう言うと思ってはいたよ。あの頭の固い校長や大臣たちの息のかかった生徒たちだ。無理もない」
男は一方的に話しを切り上げ、”
「おっと、名乗るのを忘れていた。俺は”セイリオス”のリーダー、ベルトーニ・ルチアーノ。もし気が変わったのなら、俺たちはいつでも君たちを歓迎するよ。では、さらばだ」
言いたいことだけ言って、つむじ風とともにルチアーノはその姿をくらましてしまった。風にあおられながら、残された二人は顔を見合わせる。
「とりあえず・・・・・・教授のところに帰ろうか。いろいろ報告しなければならなそうだし」
しばらくして口を開いたダリエントの言葉にルイーザは頷き、カルファーニアの元へと急いで”
***
「・・・・・・なるほど、ルチアーノの奴め。何を考えているのかは知らんが、少なくともあまりいいことではなさそうだな」
帰還一番ダリエントたちの報告を受け、眉間に皺を寄せながらぼやくカルファーニア。
「まあいい。この件は校長経由で魔法省に報告を入れて、後のことは任せよう。どのみち俺たちでどうこうできる問題ではない」
「それは、まあ・・・・・・確かにそうですね」
「今日はもう未明からずっとで疲れただろう。早く帰って少しでも休むといい。・・・・・・というより、俺ももう寝たい」
眠気で思考が働かないのであろうカルファーニアに半ば追い出されるような形で二人も解散し、急ぎ自室へと戻ったのであった。