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MAY YOU LIVE CALM DAYS

 昨日の任命式のどこか浮ついたような雰囲気から一転。校内は何ら変わりのない穏やか日常に戻ろうとしていた。


 レアンドロがを討つまでは、現れる悪魔の数も頻度も凄まじかったらしく、彼はそんな昔の慌ただしい学園生活についてよくルイーザに語ってくれた。しかし今はもう、たまに二・三匹が現れるといった程度で、基本的には至って平和そのものといってもいいくらいだ。情報部の仮説によると、そのリーダー格が討たれて統制を失っているのではないかとのことではあるが。しかし、奴らについては分かっていないことの方が多く、その仮説の真偽も定かとは言い難い。


「昨日はおめでとう、ルー! って、どうしたの? 難しい顔しちゃって?」


 いきなり後ろからかけられたその声に、ルイーザはふと我に返る。ウェーブロングの綺麗なブロンドの髪に、吸い込まれそうになりそうなくらいに済んだアクアマリンの瞳。その声の主はルイーザのルームメイト、パペリーノ・アンジェラだった。


「ありがとう、アンジー。って、私そんな顔してた……?」


「うん、してた。こーんな顔」


 彼女はその垂れ目気味な目尻を両の人差し指で無理矢理吊り上げ、わざとらしいしかめっ面をしてみせた。そんないまいち変顔になりきれていない美少女のそれを見て、ルイーザからは思わずクスッと自然な笑みがこぼれた。


「なにその顔? 私絶対にしてないから」


「えー。そっくりだと思うんだけどなぁ」


 いささか不満そうにぷーっと頬を膨らませるアンジェラ。


「はいはい。早くしないと次の授業遅れちゃうわよ? 遅刻なんてしようもんなら、フォルティナート教授に『パジャマパーティは楽しかったかい?』なーんてイジられちゃうに決まってるわ」


「言いそう、言いそう」


 そんな他愛の無い話をしながらも、彼女たちはフォルティナートの待つ第二講義室へと駆け足で向かっていった。

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