「おーい!
青果屋のオヤジ~!?」
「え?
誰か俺を読んだ?」
「ったく、オヤジはホントにどんくさいな。
後ろだ後ろ!」
「へ!?
な~んだ、姫様じゃないですか」
※これはまだ蓮姫がタイムリープの薬を飲んで大昔に旅立つ前。
蓮姫は事ある毎に家族の目を盗んでは王宮を抜け出し、庶民の暮らす城下の市場を見物に来ていた。
「な~んだじゃねえし。
ところでオヤジ?
この※分厚いキュウリみたいな食べ物は普段見かけないな。
何ていうやつだ?」
「それは最近仕入れたメロンですぜ!」
「メロンか!
そう言えば最近召し使いの爺やが新らしく栽培を始めた果物があるって言っていたな」
「珍しいでしょ?
見た目から、買っていくお客も多いんですよ」
『じろ~!』
蓮姫は販売用に吊り下げられているメロンを
まじまじと眺めた。
「姫様はメロンに興味があるんですね!」
「なあオヤジ?」
「はい?
何ですか、姫様?」
「このメロン、よくみると何かの形に似てないか?」
「何かと言われますと?」
「バカだなぁ~!
空気嫁よ!
あれだろほらあれ!
オヤジは思春期の娘にそんなこと言わせんのか。
チ……、ち ●こだよ」
『プ、ブフォッヮー!!』
「ちょっ、オヤジ汚ねぇ!
いきなり口の中のもの吹き出すなよ!」
「イヤ~ん♪
だってオジサンはね、
こんな大きさの想像するだけで恥ずかしくなっちゃうのー!」
「乙女かっ!!」
「キャ~!
恥ずかぴー♪」
「ウザイ、キモい!
もういっそのことここで
チンde
『チ~ン』
青果屋のオヤジは恥ずかしさのあまり
昇天した。
返事はない。
ただの屍のようだ。
『ジィィ~!』
「ねえ、姫様?」
「なんだオヤジ?
この期に及んでしれっと話題を反らす気か?」
「違う違う!
さっきから姫様の隣にいる娘、
姫様の真似をして食い入るようにじっとメロンをみていますけど……、
妹さんですか?」
「えっ?」
蓮姫は突然のことに動揺しつつも、
直ぐとなり、オヤジの指先す先を振り向いた。
「は、はぁぁぁー!???」
※メロンの原種
メロンは古代のインド原産と言われている。
今のメロン程甘くは無い。
形も丸くは無く分厚いキュウリのような見た目をしていたのだとか……。