あの後間も無くして、私の中でナブラとラプラシアンは完全に消えてしまった。
あたしは感情に任せて人を殺し、一番大切な二人の命まであたしは奪ってしまった。
どうやっても死ねない体を選んでしまった自分が、今は本当に憎い。
***
(ねえ、デルタ? アタシ実はさ、普通の人間とちょっと違うから、キミの姿と寿命を元に戻すことが出来るよ。だけど、死んだり消えてしまった人は元には戻せないんだ……、ごめんね)
◇そうなんだ・・・◇
それを聞いて肩を落としたデルタの様子はまるでその答えを薄々覚悟していたかのようにおとなしかった。
(ねえ、デルタ?)
◇なに?◇
(アタシとあんたが今話をしているあんたの胎内の外野から、さっきからギャーギャー文句を言ってきてるうるさい変態がいるんだけど)
◇うん……◇
(その人が、デルタの姿を元に戻して話をさせろってうるさいんだよね……。姿を元に戻すから、お
◇いいよ◇
デルタがそう返事をした直後だった。
『ピカー!!』
◇眩、眩しぃー!◇
ハルキの全身から眩しくて白い光が溢れたかと、思うと、それは一瞬の内に辺り一面へと拡散した。
「あ、あ、あ……」
真っ白い視界は次第に薄れ、元の視界が戻ってきた。しかし、その視界のアングルは化け物だった時の様に複数の多眼は無く、かつて少女として生活していた時のものだった。
「懐かしいわ……」
『キャア!!』
デルタの微かな悲鳴をハルキは見逃さなかった。
「デルタ、大丈夫?」
「ごめん、大丈夫。久しぶりに元の姿に戻れたから、足元が慣れなくて。ところで、あなたがハルキ?」
「そだよー」
「あたしを元に戻してくれてありがとう……。
これでやっとあたしは二人のところに行って、ナブラとラプラシアン、そしてパパに謝ることが出来るわ」
「ふざけんなー!!!」
『ぐわあああ』