『プクプク、プクプクプク……』
ー身体が軽いわ。まるでお空の上をふわふわ漂う
雲になったみたいに……。
あたしの身体、どうなってしまったの?
死んでしまったのかしら……。
◇死んだ?
お嬢ちゃんは死んではおらんよ。
そこは安心しなさい◇
あたし、死んだわけじゃないのね。
よかった〜。
だけれど、じゃあ あたしは今どこにいるのかしら?
これは夢?
◇いいや、夢ではなく現実じゃ。
そなたが今感じている感覚は本物なんじゃ。
しかし無理も無い。
わしがいいと念じるまでの間、
お嬢ちゃんはずっと眠りの催眠にかかっていたんじゃからな◇
あなたは……誰?
それに、眠りの催眠ってどういうこと!?
◇それはな……◇
「は!!
・・・あれ?
ちょっと! 目が開かないわ!」
「おや! やっと気が付きましたかな。
落ち着きなされ。
お嬢ちゃんへの催眠誘導はとうに切れておる。
お嬢ちゃんの目がまだ開かないのは、お嬢ちゃん自身の身体がまだこの状況に順応する準備が終わって無いからじゃよ」
「あ! 見える!見えるようになったわ!
・・・・・・何、この状況?
いったいここは何処よ?」
「驚きましたかな。
ここは人間が生まれる時代の遥か昔し、生き物達がまだ
「あたしに話しかけてるあんた!
あんたは何処にいるのよ?
ちゃんとあたしに姿をみせなさいよ!」
「わしに決まった姿は無いんじゃ。
ところで、お嬢ちゃんはカンブリア時代っていつのことかわかるかな?」
「あたしがまだ小学生だからって失礼ね!
カンブリア時代くらいあたしだって知ってるわよ!
そう、図書室の本で読んだわ!
恐竜がいた時代だったわよね?
なんであたしがそんな時代に?
それに湖って……、今あたし、水の中にいるの!?
ねえ!」
「おや! やっと気が付きましたかな?
まあまあ、状況は今からゆっくりお話ししますぞ。
それに、一つ訂正しておくが、カンブリア時代は恐竜の時代よりもずっと昔ですぞ」
「ねえ! そんなうんちく今必要?
それにね、あたしはまだそんな大昔の生き物の歴史なんて授業で習って無いもん!」
「それはすまんかった」
「ねえ? ところで、あたしはあんたが何処の誰なのか知らないし、これ以上知りたいとも思わ無いけど、どうしてあたしをこんなところに連れて来たわけ!?」
「それなんじゃが……、
わしは地球の歴史を管理する仕事をしているんじゃ。そしてな、それぞれの時代に時の番人を置いて管理をさせているんじゃ」
「はぁ?あたし、話がまわりくどい人苦手なの。
つまり、どうしてこの
「お嬢ちゃんは可愛い顔して大人を急かすの〜。
えーとな、お嬢ちゃんに来てもらったのは、
お嬢ちゃんにしか無い体質と潜在能力が、
今からお願いしたい仕事には必要じゃからじゃ。
そして、
遥々このカンブリア時代に来てもらった理由はな、このカンブリア時代の元管理人がわしの言うこと聞かんで出て行ってしまったから、
だから代わりにお嬢ちゃんに後を引き継いでもらいたいからっていうことなんじゃ」
「どうして逃げられちゃうのよ?
あなた、その時代の時の管理人よりも立場が上なのよね?」
「う……」
じーーー。
「あんた今、痛いところつかれたって思っているでしょー!?」
「まあいいわ。
あんたが言いたいことはわかったわ」
「わかってくれてよかった」
「ねえ?」
「なんじゃ?」
「ところで、さっきの説明から考えると、
あんたは時代を管理する管理人の親玉っていうことよね?
神様か何か?」
「まあ、神様ってほどでは無いが、
お前達の次元からみたらそう言うことになるかもしれぬな。
わしは地球の生命達を未来に導く仕事をしているんじゃ。
そして、お嬢ちゃんには……、
この時代の生き物達を次の時代に導く仕事をして欲しいんだよ。ナブラ君の命を助ける事と引き換えにね」
「あ、あんたのその姿……!?
総合病院でナブラを診ていた医者じゃない!!」
「そうだとも。
君は眠ってしまってあの時の記憶は無いかも知れないけど、ナブラくんの命を救う代わりに何でも条件を飲むって言ったんだよ。
だから君に飲ませたんだ。
この
「あたしにはあなたの陰謀とかそんな厨二がかった話に付き合う時間は無いの。
結局あたしは何をすればいいのよ?」
「黙って聞いていれば、君は随分偉そうだね。
ナブラ君を治すっていうのは嘘だよ!
だって僕は人に対して嘘はついちゃいけないっていうのは聞いたことはあるけど、
道端のゴミや物に嘘を言ったらいけないなんて誰にも聞いたことないんだ。
だからさ、みきが仮に警察や裁判所に相談しても無駄だと思うよ。
君は
そう、つまり君は人間じゃないんだ!
野良犬や野良猫以外! ゾウリムシ以下。
自然生命としてすら生まれることが出来なかったんだ。
だから僕が、僕率いる人間の科学者が可哀想だから仕方なく人間そっくりに作りあげてあげたんだ。
わかるか?
アハハ、アハハ!」
君は可愛い顔してるから、僕愛用のセックスドールとして飽きるまで使うことも考えていたけど、生意気そうだからやめだ。
だから、永遠にもっともっと苦しめてやることにするよ!
もちろん君じゃなくて、奴ナブラを!!
忘れもしないよ。君たちが研究室から逃げ出す前のことを」